掲載号:The SWEDEN HOUSE No.182

幸せの時間の音
夏の終わり、スウェーデンの友人宅を訪ねた。よく晴れた気持ちの良い日だ。
祖父から譲られたという赤い家。伝統民家の玄関に友人夫妻と3人の子どもたちが迎えてくれた。
古風な家具が素敵なリビングを通り抜け、真新しいパインの板で全面リフォームされたキッチンに案内された。テーブルも椅子もパインで明るい色彩。ベンチもあり全員一緒にランチ。3人の子どもは賑やかだ。聞けば友人の子どもは2人で、もう1人は近所の子なのだという。
ランチが済むと子どもたちは庭に飛び出して行った。「コーヒーにするから、こっちに」とサンルームに移動。さすがに明るい。広い庭で子どもたちが遊んでいるのが見える。庭の外側は樹木で覆われ、その向こうは森に続いている。
子どもらの声と木々がそよぐ音。
これは「幸せの時間の音」。
何でもないけど、とても大切なこと。
全ての子どもたちがこうして愛のある日々を送れますように。

Prof ile
深井せつ子
画家。北欧各国の清涼な風景に魅かれ、北欧行を重ねながら、個展・出版等で作品の発表を続けている。絵本に『イェータ運河を行く』、『風車がまわった!』、『一枚の布をぐるぐるぐる』など。北欧絵本『森はみんなの保育園』は昨年10月に出版された(全て福音館書店)。
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