巡ってくる季節が待ち遠しい――。そんな「身近な花と緑の世界」。スウェーデンハウスオーナーでもあるプロガーデナーが、ご案内します。
掲載号:The SWEDEN HOUSE No.182
収穫したものを手軽に暮らしに活かせるのが、ハーブの楽しさです。私は夏に収穫したエキナセアとレモングラスを乾燥させ、ウォッカに漬けて、寒い季節に活躍してくれるチンキをつくっています。キク科のエキナセアは、アメリカの先住民の間で万能薬として使われてきた歴史があり、免疫力を高める効果があることから、ドイツを中心にヨーロッパでも広く親しまれているハーブです。そんなエキナセアと、抗菌・殺菌作用のあるレモングラスの入ったチンキは、インフルエンザや風邪を予防する効果が期待できるので、冬を健康に過ごすための我が家の心強い味方です。いい香りなので、紅茶に入れて楽しむのもいいですよ。
満開になると花の真ん中が硬くトゲのようになるエキナセア。その名前はギリシャ語の「トゲ、ハリネズミ」に由来します。
密閉ガラス容器(右)は漬け込み始め。約3 週間後、琥珀色に変わると(左)でき上がりのサイン。
< 材 料 >
●乾燥させたエキナセア
●乾燥させたレモングラス
●ウォッカ(もしくは40 度くらいのお酒)
●消毒用アルコール
※エキナセアには観賞用もあります。チンキになるのはEchinacea purpurea( エキナセア プルプレア)、Echinacea angustifolia(エキナ セア アングスティフォリア)、Echinacea pallida(エキナセア パリダ)の3種類です。※エキナセアは、根もチンキにすることができますが、多年草のため根を残して切り戻せば、翌年も楽しむことができるので、茎の部分だけを利用します。
< 道 具 >
●密閉できるガラス容器(漬け込み用)
●スプレーやスポイトのついた遮光容器(保存・携帯用)
●ハサミ
●コーヒーフィルターまたは、目の細かい茶漉しと容器
<つくり方>
①漬け込み用のガラス容器をアルコール消毒する。
②乾燥させたエキナセアは、花、葉を取り除き、茎だけにする。
③エキナセアの茎、レモングラスの葉を1〜2センチ程度に切る。
④アルコール消毒したガラス容器の2/3程度に、エキナセアとレモングラスを同量くらいの割合で入れ、容器の9分目までウォッカを注ぐ。
⑤冷暗所に3週間程度置く(保管する前に、ラベルに日付やハーブの名前を書いて貼っておく)。
⑥3週間たったものを、コーヒーフィルターまたは目の細かい茶漉しで漉し、スプレーやスポイトのついた遮光容器に入れる。完成!
< 使い方 >
◆ インフルエンザや風邪のごく初期段階には、喉に直接「シュッ」とひと吹きしたり、数滴混ぜた蜂蜜をゆっくり口に含むようにして召し上がっても。※予防効果はありますが、治すことはできません。
◆ 紅茶などの温かい飲み物に数滴垂らす。
※ 1 年を目処に使い切る。残った場合は、殺菌力を活かし靴に吹きかけるのも良い。※運転の予定がある場合は使用を避ける。※アルコールに弱い方やお子さんが服用する場合は、温めてアルコールを飛ばしてから服用する。※継続利用は8週間を限度に、長期使用は避ける。※キク科のアレルギーや、自己免疫疾患がある場合は、使用しない。
<vol.06 「グリーンと暮らせば 」 vol.08>