私の小宇宙(2018年②)愛らしい玄関

この記事の目次

掲載号:The SWEDEN HOUSE No.177

watashino2018_02_a

愛らしい玄関

ベニガラ色や黄色、白の古民家が森に点在し…、というだけで【お伽噺】の世界に入ったような気になりませんか。スウェーデンの南から北に向かっていく電車からは、この、お伽噺の風景が延々と続いてゆく。時々、湖がキラキラッと光り、また森になり、小さな町が飛び去り、また森が続く。さて、目的地の駅で私は降りる。

駅前に商店が数軒あり教会を抜けると、もう樹木と古民家の光景だ。そばに寄ると、木造古民家はなかなか威厳がある。100年200年という年月の雨・風・雪・太陽が作りあげた美術品。とくに玄関がそれぞれ美しい。切り妻型の屋根はスウェーデン独特のもの。

突きだした屋根を支える柱は彫刻が美しい。昨年見た家の玄関はギリシャ風だった。アテネの神殿に見る柱は劇場でよく見るが、なにしろ木造二階建て。柱の装飾は目視の位置にある。とても丁寧な彫りなのに、どこかシンメトリーではない。それが、人の温もりを感じさせていた。

watashino2018_02_b


 

Prof ile
深井せつ子
画家。北欧各国の清涼な風景に魅かれ、北欧行を重ねながら、個展・出版等で作品の発表を続けている。絵本に『イェータ運河を行く』、『風車がまわった!』、『一枚の布をぐるぐるぐる』など。北欧絵本『森はみんなの保育園』は昨年10月に出版された(全て福音館書店)。

Instagram(@setsukofukai)

 

<2018年① 私の小宇宙 2018年③>

  • メルマガ登録