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Sweden house

ウフフの我が家 2009年

ウフフの我が家

この記事の目次

スウェーデンハウスオーナーのコピーライターが綴る、ひとりごとのような本音エッセイ。

父の合格点

父は、美しいものが大好きだ。私を含む三人の娘は「きれいなものをたくさん見なさい」と言って育てられ、「迷った時には、よく見て、美しい方を選びなさい。『本物』は必ず美しい形をしているから」と教わった。家族で京都や奈良に出かけ、古いお寺や庭園、国宝、着物などを見て歩くこともよくあった。父が見せてくれるものはいつだって美しかったし、私はそんな父が大好きだった。

さて、その私がスウェーデンハウスを建てたいと言い出した。当然、「なんだそれは」と父は言った。「聞いたことがない。大丈夫なのか?」――あわよくばちゃっかり資金調達もしたい私としては、なんとかスウェーデンハウスのことを理解してもらわねば困る。しかし、大正生まれの父にとっては「スウェーデンハウス」という名前さえも躓きの元。「スウェーデンの会社なのか?」「違います」「じゃあ、どうしてそんな名前なんだ」「スウェーデンの木を使ってるんです」「和室はいらんのか」「和室だってできます。床の間だって作ります」「スウェーデンの木で、か?」――怪しむ父を説得するために、私と夫は膨大な資料を持って田舎へ飛んだ。そしてどんなに快適な家なのかを説明し、どうにかこうにか「お前たちがそこまで言うなら」と言ってもらった。資金調達も大成功。「床の間に」と、大事な掛け軸まで譲ってもらって、万々歳。

さて、その父、我が家に来ると和室に泊まる。畳の上にゴロリと寝転び、床柱のあたりをまじまじと眺めながら言うことには、「なかなかうまいこと作ってある」。そして「ほら、見てみなさい、ここのところを…」と自分の家のように解説をする――大好きな父が喜んでいる。合格点だ、と認めてくれる。うーん、幸せだなあ、我が家は。

本物は美しく、あたたかい。父の笑顔を見ながら、この家を建てて良かったと心から思う。また来てね、お父さん。いつでもいいよ。待ってるよ。

「春よ、来い」

それは突然やってくる。ある朝目覚めると、明らかに昨日までと空気が違う。いろいろな香りが混ざり合ったやわらかい空気──私は小動物のように鼻をひくひくさせた後、胸一杯に空気を吸い込みながら、「春」の訪れを確信する。春が来た。大好きな、春が来たのだ。

そんな私のすぐ横で、「春は嫌いだ」とつぶやく夫。そう、彼は花粉症なのだ。スギ花粉が飛び出す頃になると、くしゃみ、鼻水、 眼に涙...「眼球が痒い、取りだして洗いたい」と言う──「面白いことを言うね〜」と笑うと「笑いごとじゃない!」と叱られた。...そこで『花粉・ウイルス99%カット!』というコピーの踊る高性能マスクをプレゼントした。どう?少しはいい?──しかし、使用済みマスクを洗濯し、「日光消毒♪」 と外に干していたら、「何してくれる!」とまた叱られた。え?外に干すと花粉がつく?あ、そうか...痛みが分からないって恐ろしい。平気で残酷なことをしてしまう。ああ、私って...しょんぼり。

と、以上は前のマンションに住んでいた頃の話。スウェーデンハウスに住み始めてから夫は「花粉症がラクになった」と言い出した。建てる前から「花粉やホコリが入ってきにくい」という噂を聞いていたから、その気になってるだけじゃない?と意地悪な見方もしてみたが、鼻水は嘘をつかない。どう見ても軽快している。気密性の良さってこういう幸せも運んでくるんだね。確かに、我が家はワタボコリだって少ない気がする。

24時間、寝る時にもつけていたマスクを、夫は帰宅後はずすようになった。マスクのいらない「春」 が、この家にはある。この家に帰れば辛い季節も笑顔でいられる。 かくして、夫の帰宅は日々早く、 娘も私も嬉しいかぎり。うーん、 しあわせだなあ、我が家は。

小さな春を手に入れて、家族みんなが笑顔になる。春はやっぱり、素敵な季節だ。

「いい塩梅」

6月に入るとなんだかそわそわしてしまう。梅の出回る季節だからだ。しっかり熟したいい梅を見つけたら、その日ばかりは仕事を休んで「梅仕事」。天気の良い日を見計らい、甕も天日に干しておかなくちゃ...。大きな声では言えないが(なんでも5年以上続けて作っていないと「梅干しを作っている」とは言えないらしい)、今年で4年目の梅干し作りになる。そう、スウェーデンハウスに越してきたその年に、私の梅仕事は始まったのだ。ずっと憧れていた梅干し作り──「梅干しは自分で作る」と言う女の人は決まって皆、凛として、誇らしげだ。今年の梅はどうのこうのと梅談義をしている姿も「家族の食を守っている」感が漂い、美しい。

しかし!狭いマンションには甕をしまうスペースなどなく、交差点に面した空気の悪いベランダで土用干しをする勇気もなく、悔しい思いで9年を過ごした。そしてやっと夢が叶った4年前...広いキッチン、日当たりの良いウッドデッキ、ズラリと並ぶ真っ赤な梅干し...。うーん、しあわせだなあ、我が家は。

梅仕事をする日は、他に予定を入れないで、のんびりゆっくりと決めている。爽やかな香りが漂う中、一つひとつ竹串でヘタを取り除き、ふきんで丁寧に水気を拭うと、和菓子のように美しい梅の実が心底愛しくなってくる。こんな素敵な仕事、絶対に急いでなんてやりたくない。

そもそもスウェーデンハウスって「急ぐ」ことが似合わない家だ。木の家は私をせかしたりしない。「ゆっくりがいいよ」と、80歳を軽く超える木々が囁きかける。やらなきゃいけないことは山ほどあるけど、気になることも次々増えるけど、「まあ、いいや」。本当に大切なことって、そう多くはない。

ゆっくり向き合えば「確か」になる、美味しくなる、うまくいく──急ぐことをしない「自然」が見守る我が家の時間。年を重ねていくごとに、いい塩梅に美味しく、楽しくなっていくようだ。

トイレ先生

スウェーデンハウスに入居する前、娘は2歳になる直前で、トイレトレーニングの真っ最中だった。え?早い?まだ1歳なのに?うーん、そうかもしれない。おむつかぶれがひどかったから早く卒業させてやりたかったのだ。それに、失敗の連続だろうトイレトレーニングをピッカピカの新居でやりたくないという、何とも身勝手な本音もあった。
が、1歳児がそう簡単におむつにバイバイできるわけもなく、引っ越し準備も忙しく――中途半端な状態で引っ越しの日を迎えた。

ところで、我が家のトイレは広い(と言ってもスウェーデンハウスでは標準サイズなのかもしれないが)。「無駄に広いんじゃない?その分収納に回したら?」という意見もあったが、「狭くてもいいと思う部分をゆったり作ることで、家全体がゆったりするんですよ」と営業さんに勧められ、「そんなもんかな」と素直にプランを受け入れた。そしてそれならばと、秘かに憧れていた「ちょこっと何かを飾れる棚」をつけてフェーヴ(feve; フランスのガレット・デ・ロアという焼き菓子に入れる2センチほどの陶器の人形)を並べた。

さて、引っ越しから2ヶ月足らずで娘はあっけなくおむつを卒業した。何故か…この家に来てから彼女はトイレが大好きになったからだ。トイレには「トイレ先生」がいる。それはフェーヴの中の一体で、どことなく「先生」といった風格のおばさんだ。娘はトイレに座るたびにつつきまわし、話しかけ、おままごとのようなことをして遊んでいた。上手に用が足せた時には私が声色を変え、トイレ先生になり変わり褒めてやった(2人で入っても余裕の広さ!)。彼女にとって新居のトイレは前のマンションの暗くて狭くて「なんだか怖い場所」とは違い、何度も行きたくなる「楽しい部屋」だったのだと思う。

5歳になった娘はもう一人でトイレに行けるが、行ったきりなかなか帰ってこないことが今でもよくある。後でこっそり入ってみると、必ず人形たちのフォーメーションが変わっていて、私はクスリと笑ってしまう。娘だけのストーリーが棲む小さな空間――トイレとはいえ、なかなかどうして「ウフフの我が家」。うーん、しあわせだなあ、我が家は。

C値でウフフ

それは引き渡し前のこと。「なかなか良いC値(※1)がでましたよ!」と、イケメン現場担当氏が、満面の笑顔で計測結果を持って来た。ふうん、それはそれは、ありがとうございます。C値が良いということは、気密性が高いということ。「隙間のない家」ができたということですよね…そのくらいは私も理解していた。が、なにせ目の離せない2歳児を抱えての家づくり。細かいことは夫に任せっきりだったから、それがどれほどのものなのか、正直ピンときていなかった。着工後になってなお、「A値」や「B値」もあるのかと、営業さんに尋ねていたくらいなのだから。
(※1)C値:機密性能をあらわす数値。数値が低いほど気密性が高い。

しかし、住み始めてから私は「C値様」に頭が上がらなくなった。暖かい室内、結露しない窓、音が外に漏れない、エアコンの効きがいい…お気に入りの暮らしの多くは、優れた「C値」が運んで来てくれたもの。しかも、ちゃんと我が家で測定しているというのが、スゴイじゃないか。

みかんを箱買いすれば、必ず幾つか甘くないのが入っている。家電製品だって一定の割合で不具合が出る。それが世の常というものだし、量産時代の宿命だ。しかし、スウェーデンハウスは一棟ごとにC値を測る。まるでみかん箱の中身を一個一個チェックするように。なんて変わったハウスメーカーなんだ。やりすぎじゃないか?でも、我が家のためなら、やりすぎてくださいね、と思ってしまう自分勝手――というわけで、我が家も正真正銘、間違いなく「高気密のスウェーデンハウス」を引き渡してもらったというわけだ。うーん、しあわせだなあ、我が家は。

あの時…イケメン氏があれほどの笑顔をくれたというのに。自分のことのように喜んでくれたのに。もっとハデに喜んであげればよかったな。一緒に飛び上がって、高気密の我が家を讃えてあげればよかったな。「良いC値がでた」=「快適な毎日が待ってますよ!」という、福音であったにもかかわらず、私はその本当の意味を、全く理解していなかったのだ。

「気持ちのいい家だなあ」と感じるたびに、あの日のことを思い出し、申し訳ない気持ちでいっぱいになっている。

指折り数えて

さあ、今日からアドベント(クリスマスまでの4週間)という日曜日に、我が家では毎年クリスマスの飾り付けをすることにしている。ツリーを出して蝋燭を立て、玄関にはリースを飾る。この時期だけ出てくる天使やサンタの置き物があれば、いつものぬいぐるみが金色のリボンを結んでもらえたりもする。讃美歌を口ずさみながら、「今年はサンタさんに何をお願いするの?」と娘にお決まりのさぐりを入れながら…家族みんなでクリスマスの準備をする時間は飛び切り楽しい。

中でも力が入るのが「窓周り」。そう、スウェーデンハウスのアイデンティティとも言うべき、例の「木製サッシ3重ガラス窓」だ。くるっと回るとか、音が外に漏れないとか、暖かいとか、結露しないとか、何かと特徴のある窓なのだが、この時期になるとそんな「スゴイ性能」よりも何よりも、ただ一点、「道行く人を楽しませる」ということだけで充分存在価値があるように思えてくる。ダビデの星をぶらさげたり、オーナメントを飾ったり…派手なイルミネーションこそないけれど、大きく美しい木枠の窓から溢れる光は、クリスマスの喜びを、道行く人に静かに伝えてくれるに違いない(悪いが、アルミサッシの窓では、こうはいくまい)。うーん、しあわせだなあ、我が家は。

ところで、先日刺繍をしていたら「あ、それアベドントカレンダー?」と娘が寄って来た。そうだよ、アベドントじゃなくてアドベントだけどね――クリスマスまでの4週間、毎日一個ずつキャンディやラムネ菓子がもらえるこのカレンダーが、娘は大好きだ。甘いキャンディを頬張るごとに、クリスマスが一歩ずつ近づいてくる。ワクワクで胸がいっぱいになる。

今年のカレンダーは使い捨てじゃなくって、手作りだからね――って、間に合うのか?間に合わせなければ!今年は11月29日から。光溢れるアドベントを今年も大好きなこの家で、大好きな家族と楽しみたい。

 

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