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Sweden house

ウフフの我が家 2008年

ウフフの我が家

この記事の目次

スウェーデンハウスオーナーのコピーライターが綴る、ひとりごとのような本音エッセイ。今回は、クリスマスと床暖房にまつわる物語をお届けします。

+60センチの幸福

「クッキーを焼きます」と宣言して、設計段階でキッチンを60センチ広くしてもらった。キツネ色に焼きあがるクッキーを娘と並んで眺めるんだから、誰が何と言ったって眺めるんだから、その分ダイニングが狭くなろうが知ったことではない。
何故だろう、住む前から「スウェーデンハウスは、クッキー作りが似合う家である」と勝手に信じ込んでいた。「長靴下のピッピ」や「やかまし村の子どもたち」がクリスマスに焼いていたジンジャークッキーのせいだろうか。娘と作るなら、まずはクッキーでしょ!と夢見ていたからだろうか。ともあれ、+60センチを死守した私は、宣言どおり、ことあるごとにクッキーを焼いている。

ブタやクモ、手、足、歯…しまいにはエッフェル塔やアンコールワット、恐竜シリーズ(全6種!)の抜き型まで手に入れて、机や床、顔面を粉だらけにして楽しむ親子の時間――priceless――っていうヤツだ。そして更なるお楽しみは、家中に広がるクッキーの匂い。「いやあ、24時間換気システムってやっぱり動いているんですねえ」と、家の性能も再確認。甘い香りに包まれて、気持ちもほっこり、うっとり。うーん、しあわせだなあ、我が家は。

ただ一つ、困ったことがある。うちの3歳児は、“煎餅派”。甘いクッキーはお気に召さないらしい。いつだって焼き上がりを1つ食べただけで「おせんべは?」と聞いてくる。「母さん、次はおせんべ焼いてちょうだいな」――煎餅ですか。煎餅ね。うーん、焼いたことないし。家中が醤油臭なわけですし――私はにっこりと笑って答える。
「今度、買ってきとくね」。

うちの園芸課長

一戸建ての楽しみに一つに「庭」がある。どんなに工夫をしてみても、マンションのベランダに「大地」はない。引越しをしたら木を植えよう。どっかりと地面に根を張り、天に向かって伸びる木を。
我が家には「園芸課長」と呼ばれる人がいる。私の夫だ。見かけによらず花や草木が好きなので、外仕事の時にはそう呼んでいる。この課長、マンション時代には鉢物を枯らす天才だった。マンションのベランダ植栽は窓を開けないと姿が見えない、見えないと忘れる、忘れると枯れる。まあ、仕方がないような気もするが、それにしたって、部屋の中の「幸福の木」さえも瀕死の状態に追い込むくらいだから、かなりの業師(わざし)だ。そして「うちは、娘以外育たない」と言い切った彼は、それきりベランダ園芸に終止符を打った。

数年後、念願のマイホームを建てた私たちは、小さいながらも庭を手に入れ、夫はふたたび園芸課長に変身した。なんてったってスウェーデンハウスですから。花や緑を楽しむには最高!と言われるスウェーデンハウスですから。これが張り切らずにいられましょうか。
ベニガラ色の外壁に映えるよう、ミモザを植えよう。棗(なつめ)とジューンベリーは収穫が楽しみ。パーゴラにはスイカズラとジャスミンを。夏が近づく夜、僅かに開けた窓の隙間から甘い香りが漂ってくるだろう…園芸課長は次々と植栽計画を実行し、育て方を調べて台帳に記入。以前のトンチンカンを卒業し、かいがいしく世話を始めた。長靴姿の彼の後ろに、スコップとジョーロを持った娘が続く。うーん、しあわせだなあ、我が家は。

引越しから3年経った今、小さな庭は緑で溢れ、ウッドデッキには寄せ植えの鉢が並ぶ。窓を閉め切っていても、この家ならばその美しさは手に取るようだ。毎朝起きるとまず庭を眺めてニヤニヤしている我が家の園芸課長。この夏、園芸部長に昇進予定だ。

グッバイ・マイ・床暖房

ロフト、吹き抜け、掘り炬燵、 勝手口、小上がり、斜天井、琉球畳、サンルーム、地下室、そして床暖房。家を建てると決めてから、さまざまな希望と妄想が頭の中を駆け巡った。その中でもかなり優先順位が高かったのが床暖房だ。何を隠そう、私は冷え性だ。自己紹介の欄に「冷え性」と書いてしまうくらいの冷え性だ。そんな私にとって足元からじんわり身体を温めてくれるというその設備は、絶対必要不可欠、しあわせの象徴のような存在だった。 ところが、スウェーデンハウスの美人設計士は一蹴した。「いらないと思います」──何故だ!?一戸建ては寒いはずだろう!?

──なんでもスウェーデンハウスの断熱性はすごくって(断熱材がすごいのだ)、気密性も高くって(隙間が少ないのだ)、冬でも裸足でいられるくらい暖かいらしい。「本当か?」半信半疑で説明を聞き、一応納得した私と夫──床暖房はつけないことになった(でも本当言うと「寒かったら後でつけてやる」、と心に誓っていた)。

そして最初の冬がやってきた。まず後悔したことは、秋口に買い込んだ娘のルームソックスや靴下。コイツは本当に無駄だった(折角だからと履かせてみたら、フローリングでツルリと滑った)。 新築祝いにスリッパをくれた友達にも悪いことをした。一生出番がないかもしれない。──そう、この家の暖かさは想像以上だった。あれほど床暖房にこだわっていた私は「負けた」のか「勝った」のか…まあ、そんなことはどうでもいい。床暖房は、もういらない。

小さなひも付きミトンを手にはめて、娘が庭に飛び出して行く。結露しない窓からは、出来上がっていくおかしげな雪ウサギがよく見える。「寒い寒い」と 帰ってきたら、一緒にココアを飲もうかな。キッチンでミルクを沸かす私の足にも、もはや靴下は見当たらない。うーん、しあわせだなあ、我が家は。 冬は「家族」が嬉しい季節、そして「家」が嬉しい季節。今年の冬は、うんと寒くなるといい。

100年後のクリスマス

先日、娘に「今年はサンタさんに何をお願いするの?」と聞いたら、「え!?また来るの?」という言葉が返ってきて、ずっこけた。クリスマスはね、毎年来るんだよ──4歳の娘には、まだ記憶に残るクリスマスが1回しかないのだ。だからサンタクロースだって、去年1回きり、単発でやって来たという認識を持っていたとしても無理はない。思いがけぬ吉報に喜んだ彼女は、「じゃあ、お手紙を書かなきゃねえ」と、クレヨンを取りに走っていった。

スウェーデンハウスで暮らし始めて、クリスマスは特に楽しい季節になった。リースやツリー、キャンドルがよく似合うから、という理由ももちろんあるが、もっとあたたかな“家族の記憶”のようなものが、この特別な季節、この家のそこここに、ひときわ深く刻まれていくような気がするからだ。

昔読んだスウェーデンの物語の中に「お母さんが子どもだった頃からずっと飾っている天使」を、女の子がもみの木に飾るシーンがあった。家族って続いていくものなんだね、受け継いでいくって素敵だねと、えも言われぬあたたかさで一杯になって、「ずっと」という言葉に憧れた。 ずっと住み継げる家っていいな。20年後、50年後、娘の子どもたちが、そのまた子どもたちが、 この家で同じようにクリスマスを待ち望む日が来るかもしれない。 100年後、「おじいちゃんのおじいちゃんが建てた家」とか言いながら、たくさんの子どもたちがここに集まることだって、あるかもしれない。この家は、きっと変わらないぬくもりで、その子たちに素敵なクリスマスを過ごさせてくれるに違いない。ずっとずっと...

100年先を夢に見ながら、真っ赤なキャンドルを窓辺に飾る。うーん、しあわせだなあ、我が家は。 今年もクリスマスがやって来る。娘にとっては記憶に残る2回目のクリスマスになるはずだ。 願わくば、記憶の一番あたたかな場所に、家族の笑顔とともにこの風景が刻まれますように──メリー・クリスマス!

 

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