冬は暖かく、夏は涼しく過ごせる家――今やどのハウスメーカーも競ってその「断熱性能の高さ」を前面に押し出しています。断熱性能とは、外気温の影響を抑えて室内の温度を一定に保つ性能で、床や壁、天井に使用される断熱材の質や量、充填の仕方などで効果に差が出ます。断熱性能が高ければ、家の中は過ごしやすく快適で、暖房・冷房の使用も減らすことができるので、エコノミーでエコロジー。住宅選びをするときには、どんな断熱材をどのように使用して、断熱性能を確保しているかをしっかり確かめる必要があります。
しかし!実はこの断熱性能、大きな落とし穴があることをご存知ですか?ただ単に断熱性能が高いだけではダメなのです。キーワードは家の「スキマ」。今回はその「スキマ」について、お話ししたいと思います。
どんな住宅にも「スキマ」があります。
寒いと思ったら、ファスナーが開いていた。
羽毛たっぷりの分厚いダウンジャケット。でも、ファスナーを閉めることができなければ、風が吹き込んでしまい保温性は台無しです。また、せっかく温かなお茶を魔法瓶に入れても、蓋がきちんと閉まらなければ、あっという間にぬるくなってしまいます。実はこれと同じことが、住宅でも起きているのです。
実は住宅にはとてもたくさんのスキマがあり、快適な温度・湿度を保つのを邪魔しています。窓はもちろん、壁と床の継ぎ目、コンセント部、お風呂の排水口…せっかく分厚い断熱材を使用して「高断熱住宅です!」と胸を張ってみても、スキマから外気が侵入してしまえば、断熱材の効果を充分発揮させることができず、室内の快適温度を保つことは難しくなります。まさにファスナーの空いたダウンジャケット、蓋の閉まらない魔法瓶…夢のマイホームは残念な結果になってしまいます。
住宅の「スキマ」チェック!
我が家にスキマなんかない!と思っていませんか?
一つでも思い当たるなら、それは家のスキマです。
高断熱住宅の性能を100%活かせなくなる「住宅のスキマ」。この「スキマ」を減らすことを、家づくり用語で「気密(きみつ)」といいます。
それでは、どうすれば気密性の高い(=スキマの少ない)住宅になるのでしょうか?
そもそもスキマの大小を知ることはできるのでしょうか?
建てる前に知りたい!住宅のスキマの多い・少ない。
まずは<断熱性能>を確認しよう
住宅の断熱性能がどのくらい高いのか?ハウスメーカーのカタログを確認したり、営業さんに尋ねてみたりするのもいいでしょう。Q値(熱損失係数)とU値(外皮平均熱貫流率)という指標があるので、性能の高さ・低さが分かります(間取りや家の形状によって数値は異なります)。日本では現在、算出されたU値によって断熱レベルを1〜7の等級に分類していて、2025年からは一定の断熱等級以上でなければ住宅の新築ができなくなります※。
※断熱等級について詳しく知りたい方は コチラ をご覧ください
必ず!<気密性能>を確認しよう
住宅のスキマがどのくらいあるかは、C値(相当隙間面積)という数値で確認できます。でも残念ながら、U値・Q値と違ってC値だけは竣工時に1棟1棟実測しなければ分かりません。そのメーカーの平均的な数値だけでも知りたいところですが、営業さんに尋ねても「それなりにあると思いますよ」等の返事しかもらえず、明言を避けられる場合が多いようです。それどころか「高気密じゃなくても中気密くらいで充分」「風通しが悪くなりますよ」など、間違った情報を流されてしまうこともあるようです。
ハウスメーカー各社の住宅パンフレットを見ても、断熱性能に触れるページはあっても、気密性能に触れるページはほぼありません。
せっかくの断熱性能も、気密性能が低いと台無しなのに、何故ここまでおざなりにされるのでしょうか?
消えた「C値」の謎。
住宅性能の基準に「C値」がない!?
1999年、日本に「次世代省エネ基準」が創設された際、断熱性能を示すQ値と、気密性能を示すC値は地域に合わせて明記されていました(次世代とは名ばかりの、世界から大きく後れをとる(※1)不十分な数値でしたが…)。気密性能を高めることが、断熱性能や省エネ性能に有益だと考えたからで、当時は住宅メーカーがこぞって「高気密・高断熱」をうたっていました。ところが2009年の法改正では、C値(気密性能)の基準が削除され、2013年施行の改正省エネ基準からは、「気密」の文字まで全て消えてしまいました。現在「ZEH基準」や「HEAT20基準」などの住宅性能基準にもC値は入っていません。一体何故なのでしょうか。
(※1)住宅先進国スウェーデンは、1975年に世界に先駆けて住宅の気密性能を規定しています。健康的で快適な住まいを第一に考えつつ、国レベルで省エネルギー・省資源の観点から住宅にできることを考えた末の取り組みでした。
「C値」は何かと都合が悪い?
住宅の気密性能を高めるためには、見えない部分に手をかけ、スキマを減らしていかねばなりません。当然コストがかかり、現場への教育や管理も難しくなります。しかも、測定しても基準に合うC値が出にくい住宅も多くあります。下手に基準を設けてしまうと適合しない住宅が多く出てしまうのかもしれません。
多くの謎が残るC値の現状。けれど、基準として定められていないからといって、C値(気密性能)がどうでもいいわけではありません。気密性能の大切さをしっかり意識しながら家づくりすることは家づくりにおいて非常に重要なことなのです。
それでは、高い気密性能が可能にする「快適な家」とは、どういう家なのでしょうか。
そのポイントを見ていきましょう。
高気密あっての高断熱。両輪で実現する快適。
計画換気がしっかりできるので、湿気が少なくカビやダニの繁殖を防ぐことができる。
(「換気」については現在、24時間換気システムを設置することが国のルールになっています。)
以上のように、スキマが少ない高気密の住宅なら、断熱材はその効果をしっかりと発揮することができ、外の温度の影響を受けにくい快適な空間が実現します。日頃から気になっているあんなこと、こんなことも、実は住宅のスキマを減らすことが解決の近道だったりするのです。
スウェーデンハウスは、スキマを徹底的に減らします。
「気密性能なくして、断熱性能なし」「気密性こそ高性能住宅の要」。この事実を踏まえ、スウェーデンハウスは創業時から気密性の向上こだわってきました。どうすればスキマのない住宅を作れるのか――窓や壁、天井や床はもちろん、床や外壁を貫通する配管やダクトのつなぎ目、外周壁に設けられたコンセント裏など、家が完成してしまうと目に触れることのない部分の小さなスキマも、見逃すことなく施工をしています。また、お引渡し前に全ての住宅においてC値の測定を行い、その数値をお客様にご報告しています。
「窓」のスキマを徹底的に防ぐ
スウェーデンハウスの回転式窓は気密性に優れたエアタイト構造。窓は簡単なレバー操作で、気密パッキンを窓枠にしっかりと押し付けるように密閉することができます。それはまるで、潜水艦のハッチや旅客機のドアのようです(一般的な引き違い窓は、レールの上に車輪が乗る構造なので、窓を閉じても窓枠とサッシの間に必ずスキマが生じてしまいます)。
※スウェーデンハウスの窓の魅力については コチラ
スキマを作らない「壁パネル」
スウェーデンハウスは、家全体を断熱材(グラスウール)で包み込むようにして断熱性能を高めています。その時に重要なのが、断熱のラインを途切れさせないこと、そして気密性能を保つこと。それは壁と壁の継目、床と壁の接合部にも及びます。
「ガイドレール」で壁と床にスキマなし
スキマが生まれやすい壁と床との間も、気密パッキンとガイドレールを施工することでスキマをなくし、防水・防湿性能や気密性を確保しています。
こんなところまで!?①「コンセント裏に気密ボックス」
スウェーデンハウスで外壁に面した壁にコンセントを取り付ける場合は、コンセント器具の外側にプラスチック製の気密ボックス(防気カバー)を使用して気密性能を確保します。この気密ボックスは配線を通しても気密処理ができる仕組みになっています。
こんなところまで!?②「ユニットバス点検口に床下点検口用キャップ」
スウェーデンハウスは浴室の床下から外気の影響をシャットアウトするために、オリジナルの「ユニットバス点検口キャップ」を使用して隙間を塞いでいます。この点検口キャップは特許を取得しています。
この他にも「こんなところまで!?」なスキマ対策を行なっています。
詳しくはホームコンサルタントへお問い合わせください。
PICK UP!全棟C値(気密)測定はスウェーデンハウスだけ!
1999年、スウェーデンハウスは「全棟C値(気密)測定」をスタートさせました。「時間も手間もかかる」「何棟かに1棟の測定ではだめか」「保証する数値に達しない場合、不具合な箇所を特定できるか」などの声も一部で挙がったといいます。しかし当時の工事責任者は「最初は無謀な話だと思いましたが、創業時から気密性能を追求してきたので“特別なことをしなくても良いC値は出る”という自信もありました」と振り返ります。そして多くの社員が気密測定士の資格を取得。さらに実際に手を動かす職人さんや電気・水道業者さんにも、現場で気密測定しながらスキマ風が入ってきやすい場所のチェックと施工ポイントの再確認をしてもらいました。今現在も続いている全棟でのC値(気密)測定は、スウェーデンハウスが標準仕様で高性能であることの証明であり、施工品質に対する自信でもあるのです。
|
スウェーデンハウスなら、スキマは「名刺2枚分」
お引渡し前に、あなたの家も測定します。
ご紹介してきたように、スウェーデンハウスはお引き渡しする全ての家のC値(気密)を実測して明確にしている住宅メーカーです。スウェーデンハウスが2022年度にお引き渡しした、全ての家のC値(気密)実測平均値は0.64(単位は㎠/㎡)。これは45坪(148㎡)の家の場合、スキマが名刺2枚分(約96.2㎠)以下の小ささということになります。次世代エネルギー基準値はハガキ5枚分なので、その性能の違いは歴然です。
まとめ
「断熱性能」も「計画換気」も快適・健康な暮らしに欠かすことのできない重要な性能ですが、「気密性能」の良し悪しで機能の仕方が違ってきます。これらの性能が機能しないと室内の快適さが損なわれてしまうだけでなく、時に健康被害を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。住まいと健康について研究する専門家たちも口をそろえて「快適な家づくりに必要不可欠」だと言っているのに、何故か世間では注目度が低い「気密性能」。今回の記事で、少しでも気密性能の大切さを理解していただければ幸いです。
スウェーデンハウスは皆さんにいつまでも快適で健康な暮らしを届けるため、これからも責任をもって高気密住宅をご提供します。
ぜひお近くのモデルハウスで、その快適さをご確認ください。1年中いつでも歓迎していますが、特に真冬の寒い時期や真夏の暑い時期は“快適さの違い”が分かりやすくてオススメです。