スウェーデンハウスのワングレード・ハイスペックを支えている現地工場、トーモクヒュースAB。
前編では、その歴史や立地環境、そして製造される部材の一部をご紹介しました。後編では、品質管理への徹底したこだわりやサスティナブルな労働環境、そして日本向けの部材づくりに込められたスタッフやクラフトマンたちの思いをお伝えします。
ここまでやります!品質管理
全ての製品が「間違いのない品質」を保つように、トーモクヒュースABでは厳格な品質管理を行なっています。

PICK UP! 安全基準の「CEマーク」と安定品質の「Pマーク」
前述した通り、トーモクヒュースABの製品は全て「CEマーク」を取得しており、さらにはスウェーデンを中心とした北欧の厳格な認証制度である「Pマーク」も長年にわたり取得しています。この2つのマークの違いについてご説明します。
● CEマーク(Conformité Européenne 欧州適合) ・対象:建材・電気製品・機械・医療機器など幅広い製品 ・製品がEUの安全・健康・環境に関する基準を満たしていることを示す。 ・製品がEU市場で自由に販売できることを証明する(窓やドアの場合は断熱性や防火性能、耐久性など、EUで定められた規格(EN標準)に適合していることを意味する。)
● Pマーク(P-märkt) ・対象:木製建材(窓・ドア・木材製品など)や製造プロセス ・スウェーデン独自の品質マーク。建材や木材製品の製造工程と品質管理の信頼性を保証する。 ・製造中の品質管理が文書化され、規定通りに行われていることを示す(原材料の管理・防腐処理液の混合比、最終製品のチェックなども含む)。 ・日本のJISマーク、JASマークに匹敵する。
このように、CEマークが「製品の基準適合」を示すのに対し、Pマークは製造プロセス・品質管理体制にも重点が置かれています。Pマークを取得・維持するには監査や継続的な抜き打ち検査に合格する必要があり、非常にハードルの高いものですが、トーモクヒュースABは長年にわたりこれを維持しており、ものづくりの信頼性を支えています。
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とことんサスティナブルな工場運営
スウェーデンハウスが使用する木材は、環境先進国スウェーデンで森林保護法により厳しく管理されている森で育ち、合法的に伐採された木々です。自然の持続可能な循環を乱すことのないこの資材調達の他にも、トーモクヒュースABではさまざまな取り組みを行ない、環境負荷への配慮をしています。
100%再生可能エネルギーを使用
スウェーデンは、2040年までに発電の 100%を「再生可能エネルギー(※1)」で賄うことを目標としています。電力会社も自由に選ぶことができ、トーモクヒュースABは現在再生可能エネルギー100%の電力会社と契約中。工場内の機械やフォークリフトなども再生可能エネルギーで稼働しています。
(※1)太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、バイオマスなどを利用した電力。

暖房はバイオマスの「地域暖房システム」
厳しい寒さとなるスウェーデンの冬。暖房設備で使用する膨大なエネルギーに、トーモクヒュースABではバイオマスの地域暖房システム(※2)を利用しています。木材チップを使ったバイオマスエネルギーは暖房の他、窓塗装の乾燥機などに有効活用されています。
(※2)温水を作り貯めたものを周辺地域や住宅にパイプを使って送るシステムのこと。熱源には食品廃棄物から生成されるバイオガスや、工場生産からの余剰熱などの地域資源が再利用されている。
不要ゴミも資源として再利用
製造工程で出るさまざまな素材も、有効活用をして環境保全に努めています。

働き方もサスティナブル
効率的に高い品質の製品を作るためには、働く人たちの心身の健康に配慮した環境整備も大切です。トーモクヒュースABでは休暇制度等の福利厚生の充実はもちろん、前述した工程ローテーションなど、さまざまな工夫で一人ひとりの働きやすさを守っています。

トーモクヒュースABのスタッフは工場周辺に暮らし、地域に根差して働いています。幼い頃から「森のムッレ教室(※3)」などの、森や自然と共に学ぶ スウェーデン特有の教育プログラムを通して、自然と共生する心を育んできました。そのため、長く住み継ぐスウェーデン住宅の在り方も深く理解しています。そしてトーモクヒュースABで製造される住宅部材が単なる工業製品ではなく、住まう人の人生を守り導くものであることを知っています。健全な労働環境でモチベーションを維持しながら、喜びを持って働ける環境の整備は、そもそも目的意識の高いスタッフの意識を更に向上させ、スキルアップを促進、ひいては安定した生産と高品質なものづくりへと繋がっていきます。
(※3)森の中で行う環境教育。森の妖精ムッレから自然の大切さや循環を学び、自分も自然の一部だということを理解していく。
スウェーデンハウス紀行「スウェーデンのサステナブルな取り組み」は コチラ をご覧ください。

現地と日本の素晴らしき調和
高いスキルと強い責任感を持つ スタッフが働くトーモクヒュースAB。社長は日本人で、日本人スタッフも常駐してはいますが、日本とスウェーデンでは風土も文化も大きく異なります 。日本の人々が住まいに求める品質を、スウェーデンのスタッフが深く理解するのは容易なことではありません。例えば、住宅の「耐震性」は地震体験がほとんどないスウェーデンの人々には実感の湧きにくい性能ですし、夏の蒸し暑さや台風も同様。パイン材の節目の見え方ひとつとっても、日本とスウェーデンでは美意識が異なります。 そんな中で、スウェーデンハウスの高い性能を維持向上させていくためには、互いの相互理解と連携が欠かせません。トーモクヒュースABでは、自社工場であるメリットを大いに活かし、細やかな指示や報告、確認を重ねながら、確かな品質を保っています。
たとえば・・・
・日本の住宅市場に関する最新情報を報告し、トーモクヒュースABの担う役割と責務を全社員で確認する。
・生産計画や品質の確認、労働環境整備など日常業務に関する案件は、管理部門と製造部門が定例会で話し合い解決に
努める。
・日本の品質管理や物流部門と月に一度オンラインで技術会議を開催。日本からの要望にクラフトマンたちが最善の
方法を提案する場となる。
現地の日本人スタッフは日本から届くオーダーの意図をスウェーデンスタッフにきめ細かく伝える役割を担い、日本の文化や気候風土、日本人特有の価値観や住宅感を伝えていきます。スウェーデンのスタッフたちは積極的に日本のことを知ろうとし、疑問があると日本人スタッフに尋ね、理解を深めていきます。
スウェーデンと日本、2つの国のものづくりの精神が調和している風景は 、私たちの現地工場の大きな特徴かもしれません。木工技術に伝統と定評があるスウェーデンのクラフトマンシップと、日本の精密さを追求する きめ細やかな製造手法。その2つを融合させることで、スウェーデンハウスの高いクオリティは実現しているのです。
まとめ
ダーラナ地方の豊かな自然の中、優秀なクラフトマンたちが今日もスウェーデンハウスの重要な部材を製造しています。トーモクヒュースABという現地工場を持つことで、スウェーデンハウスは精度の高いものづくりと、細部まで美しい仕上がりを実現しています。スウェーデンのサスティナブルな住思想を受け継ぎながら、日本の気候風土や暮らしに寄り添うよう改良重ねて生まれた窓や壁。 それらは、この工場で厳格な管理と真摯な手仕事のもとに仕上げられています。日本とスウェーデンの美しき調和、そしてクラフトマップシップにあふれる仕事から誕生するスウェーデンハウスを、実際にご覧になってみませんか?モデルハウスで皆様のご来場を お待ちしています。