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Sweden house

ウフフの我が家 2010年

ウフフの我が家

この記事の目次

スウェーデンハウスオーナーのコピーライターが綴る、ひとりごとのような本音エッセイ。

笑う天井

ある夜、絵本の読み聞かせも終わり、スタンドのあかりを消そうとしていたら、娘が急に笑い出した。「ハ、ハ、ハ、ハ、ハ」「え?なに?」「ヘ、へ、へ、へ、へ」「??」。にっこり笑って彼女が指さす先には、パイン貼りの斜天井。ああそうか…パインの木目がちょうどハの字、への字に見える。そろそろ文字に興味を持ちだした娘が、得意げに読んで見せたというわけだ。

家を建てるならスウェーデンハウスでと決めていたが、その中でも大屋根の「アルム」に憧れていた。山小屋のような外観、床の近くまでスッと流れる斜天井…これぞスウェーデンハウスの真骨頂!いいなあ、アルム。憧れちゃうなあ。こんな家で暮らしたら、人生変わるような気がするなあ。

しかし、現実は甘くない。アルムを建てるということは、2階の居住スペースがちょっと狭くなるということだ。我が家には田舎から親や姉妹が来ることも多いから、居住空間をできるだけ確保せねばならない。建ぺい率ギリギリに、見た目よりも効率重視…というわけで、結局は総2階のグランで建てることになった。
でもなあ、やっぱりいいよなあ、アルム…と未練たらたらの私。そんな姿を気の毒に思ったのか、営業さんが提案してくれたのが斜天井だった。「構造上、全部の部屋をそうするわけにはいきませんが」と前置きをされた割には、主寝室、子ども部屋、ファミリールーム、と2階の主要部分をパイン貼りの斜天井にすることができ、そのできばえときたら、予想を裏切る「なあんだ、すっごい素敵じゃん!」だった。憧れていた「山小屋」の雰囲気も充分に味わえる。こんな家で暮らしたら、人生変わってしまうんじゃない?

──マンションで暮らしていた時の無機質な天井と違い、パインの色合いと不規則な木目が、眠りにつこうとする心と身体に心地いい(朝、まどろみながら眺めるのもまた格別)。うーん、しあわせだなあ、我が家は。「ハハハ、ヘヘヘ」と笑いながら、眠るのがもったいないなあと思いながら…今夜もぐっすり、眠らせていただきます。

ビューティフル・ロック

今から20年も前になるけれど、泥棒に入られたことがある。住んでいたのはマンションの4階。ベランダが侵入経路だったらしいのだが、翌朝警察が来た時には、妹が布団を干すために(干さずにはおれない晴天だった)手摺りをキレイに拭いてしまった後。指紋が全く残っておらず、「何をしてるんですか」と叱られた──心身ともに、非常に消耗した出来事だった。その日以来、私は「防犯」に敏感になった。引っ越す先々で玄関や窓に鍵を増設し、面倒くさい施錠・解錠に耐えた。暑い夏の夜でも、窓を開けて寝るなんてもってのほか。エアコンをつけたり消したりで寝不足になった。「鍵、かけたっけ?」と不安になると、あと少しで駅、という時でも引き返して確認した(たいがいきちんとかかっていたけれど)。

そんな私が今、メロメロに惚れ込んでいるのが、我が家の窓、「木製サッシ3重ガラス窓」だ。この窓ならば「窓を閉める=施錠」。しかも2重ロック、3重ロック以上の安心感がある…と、私は思っている。私が泥棒だったら、こんなに厚いガラスを3枚も、時間をかけて割ろうとは思わない。3枚割る間に、ご近所に気づかれてしまうだろう。私なら、やらない。――というわけで、私は現在、複雑な鍵かけからも、漠然とした不安からも解放されて暮らしている。よく「潜水艦のハッチ」に例えられるけれど、言い得て妙。この窓は、家の外と内とをきっちりと分断してくれる。内側で暮らす私の、安心しきった毎日といったら…うーん、しあわせだなあ、我が家は。

暑い夜には換気ポジションを利用して、窓を開けて眠っている。「鍵、かけたっけ?」は「窓、閉めたっけ?」に変わり、今でもたまに引き返してしまうけれど、窓の状態は家に入らなくても、外から見ればすぐわかる。(たいがいきちんと閉まっている)。キュッとハンドルを回すだけ──なんてシンプルで、なんて強い。なんて美しい窓なんだろう。

傷の数だけ

娘は保育園に通っている。当然母たちはみな働いているので、お迎え後に「〇〇ちゃんの家で遊ぼう」などという時間はない。そんな環境も手伝ってか、たまに集まる機会を得ると、子どもたちはとんでもなく嬉しくって、楽しくって、それはそれは大騒ぎになる。男の子も女の子も来る。その兄姉の小学生も、赤ちゃんもやって来る。大声で歌ったり、叫んだり…喧嘩が始まればあちらこちらで号泣だ。けれど、「静かにしなさい!」「お隣に迷惑よ!」などと注意する必要はない。戸建てっていいな、と思う瞬間だ。

しかもこの家には、その大騒ぎを家の外には内緒にしてくれる、3重ガラスの窓もある。母たちはいちいち怒鳴って「子どもの世界」を中断しないでも済むし、何より、ゆっくりお茶ができるというわけだ。うーん、しあわせだなあ、我が家は。

子どもたちが大好きな場所、それは「ロフト」だ。「きっと子どもたちの隠れ家になるね」と設計したものだったが、思ったとおり、子どもたちはいつだって玄関からまっすぐ2階に上がり、ロフトへ潜り込む。大人の知らない、自分たちだけの小さな秘密が、どれほど楽しいものだったか…幼い頃の自分を振り返りながら、駆けていく子どもたちの背中を見送る。

「子どもには子どもが必要だ」と何かの本で読んだことがある。一人っ子の我が娘は、普段私たち親には見せないような顔をして仲間たちと遊んでいる。まさに弾けんばかりの笑顔──やっぱり「仲間」にはかなわない。それならば、仲間が集まりやすい家にしよう、どんどん遊びに来てもらおう、そしてみんなで大きくなろう。この家は、そんな思いで建てた家だった。

床の傷がどんどん増える。なんだか手摺がべたべたしている。知らないうちに壁には汚れが…。イラッとして、ムカッときて、怒ってしまいそうになるけれど、そのたびにふっと思い出す。「そのために建てた家だったよね」と。床の傷が増えるたび、子どもたちの心の中にはかけがえのない思い出が、刻まれているに違いない。

我が家の特権

こう天候が不順だと、メンテナンスをするタイミングが難しい。平日はどうしても仕事で忙しいので、①何の予定もない土日で、②しかもしっかり晴れてくれないと困る。この2つの条件を満たす日が、今年に入ってなかなかなくて、先日の点検時に「そろそろ塗りましょうかね」と言われてしまった。「全部一度に塗らなくても、ちょっとずつでもいいんですよ」と──分かっちゃいるけど…ううう、なんか面倒になってきた。木は生きている。だからメンテナンスは、スウェーデンハウスに住むともれなくついてくる、「義務」なのだ。

そして先日、私たちは慌ててメンテナンスを行った。木がびっくりするくらいの勢いでキシラデコールを吸い込んでいく。「ごめんよ。カラカラだったんだね」とハケを動かす夫の隣で6歳になる娘がつぶやく。一旦メンテナンスを始めると、夫はすぐに夢中になる。我を忘れて一心不乱…すぐ横に「すごいなあ」と、見つめる娘がいるものだから、余計に張り切る。普段はなかなか見せられない「働く父さん」の姿を、今こそ見せるチャンス!

もう少し娘が大きくなったら、娘用のハケも買ってやろう。高学年になったらお友達を呼んで、メンテナンス大会もいいな。高校生になったら、バイト代の代わりにデッキでバーベキューでもしよう。もっと大きくなったら、彼氏を連れて来させよう。下手に塗るようなら失格だ──ニヤニヤと想像しながら、私は飲み物の用意をする。「家がよろこんだー」と、汗を光らせて戻ってくる娘。「上出来、上出来」と満足気な夫。家族揃って飲む冷たいカルピスは美味しい。うーん、しあわせだなあ、我が家は。

木は生きている。私たちと一緒に、生きている。メンテナンスは、スウェーデンハウスに住むともれなくついてくる、「特権」なのだと、私は思う。

猛暑がなんだ

「喫茶店かレストランかと思って、通り過ぎたわ...」と、初めて我が家を訪ねてくれた知り合いが、汗をふきふき引き返して来た。 いや、それは言い過ぎでしょう。 そりゃあ、我が家は(手前味噌だが)可愛らしい外観だけど、いくらなんでも喫茶店には見えないでしょう。 看板だって出てないし...。 一息ついて話を聞けば、彼女を惑わせたのは窓の外に取り付けられたオーニングだったらしい。緑と白のストライプ、ヨーロッパ風にたなびくその日除けを見て、「一般住宅ではないだろう」と判断したそうなのだ。

たしかに日本ではオーニングをあまり見ない。私だって、この家に住むまで使ったこともなければ、オーニングという名前さえ知らなかった...設計時には一旦、「いらないんじゃない?」とつけるのを止めかけた。日差しを除けるならカーテンだってあるし、外観のためにそこまでしなくたって...他に予算を回そうよ、贅沢だよ、と。

しかし、スウェーデンハウスに住んで5年。私にとってオーニングは「窓を飾るもの」という認識から「夏の必需品」に変わっていった。オーニングって実は、とってもすごいのだ。オーニングは「窓の外」で日差しを遮るから、窓自体が温まらない。ただでさえ外気温の影響を受けにくい窓なのに、鬼に金棒。エアコンの効きだって絶対に違う。オーニングのない夏なんて、もう考えられない。涼しくって、省エネで、可愛い家ねってみんなに言われて...うーん、しあわせだなあ、我が家は。

オーニングの効果もあってか、記録的な猛暑だった今年の夏も、我が家的にはあまり苦ではなかった。8月中は毎日エアコンの24時間連続運転を行っていたが、2階の1台を動かすだけで家中とても涼快だった。熱帯夜だろうが、猛暑日だろうが、設定温度は28度のまま。しかも電気代は、7月と比べてさほど変わらなかった。ホレボレと請求書を眺めながら、こう思う──こういうのを、「高機能住宅」っていうんだねえ。

お風呂がスキ

ある晩、娘と夫が手紙の交換をしていた。「おふろにいしょにいつもはいってくねてありがとう」と、間違いながらの娘の手紙。「いつもたのしくあそんでくれてありがとう」という夫の返事──どうやら娘にとって、お父さんとの一番楽しい時間はお風呂のようだ。平日はなかなか難しいけれど、土日は必ず一緒に入って30分も40分も、キャーキャー言いながら親子の時間を楽しんでいる。

ニッポン人には、風呂がある──昔、そんな広告コピーがあった。どんなに疲れて帰っても、どんなに悔しいことがあっても、日本人には風呂がある…お風呂の存在ほど、日本人である私たちを和ませ、癒してくれるものはない。湯船にゆったりとつかりながら「日本人で良かった」と、私はこれまで何度思ったことだろう。そしてスウェーデンハウスに住み始めてからは、冬でもお風呂に向かうのが億劫ではなくなった。寒くないからだ。

私が育った田舎の家のお風呂場は、まるで屋外のように寒かった。脱衣所も寒かった。どんなに温まっても、上がって着替えるうちに身体はどんどん冷えていった。マンションのお風呂も寒かった。換気口からは外の騒音とともに風も入ってきた。ちょこちょこ動き回る娘が風邪をひかないよう気遣ううちに、いつだって自分が風邪をひいた。

今、我が家のお風呂には、思わず肩に力が入るような寒さも、慌てて着替えなければならない隙間風もない。のんびり、ゆったり──「急ぎなさい」「風邪ひくよ」を言う必要もないから、必然的に会話も弾む。楽しくなる。お風呂好きの娘が出来上がる。うーん、しあわせだなあ、我が家は。

スウェーデンハウスのお風呂場は、居心地も、温かさも、普通の部屋と変わらない。いや、家全体が、お風呂のように心地良いのだ。住宅展示場に行くなら、冬に行くといい。できればあらかじめ、身体をしっかり凍えさせてね。あったかいお湯の中でふにゃふにゃとなるあの感覚が、玄関に一歩足を踏み入れただけで体感できる家は、きっと、スウェーデンハウスだけなんじゃないかなあ。

 

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