ミュークの扉: Slöjd[スロイド]

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スウェーデン語【手仕事】
長い冬、家の中で過ごす時間が多いスウェーデンで、家庭内で行われていた「ものづくり」を指す言葉がスロイド(手仕事)です。生活用品や衣類、インテリア、おもちゃ…オートメーションが進み、大量生産の世の中になった今でも、スウェーデンの人たちは「自分でつくる」ことを愛してやみません。心を込めて、時間をかけて、誰かのために…ずっと愛せるものをつくり出すことは、彼らにとってかけがえのない喜びなのです。

掲載号:The SWEDEN HOUSE No.187

手のぬくもり

スウェーデンの友人宅を訪ねると、決まってかぎ針編みのブランケットや鍋つかみ、イニシャルの刺繍が入ったリネンなどが使われている。年季が入ったものはたいがいおばあちゃんやお母さんから譲り受けたもので、日常生活の中にあたたかな表情で溶け込んでいる。

スロイド(手仕事)は古くから小中学校の必修科目になっていて、子どもたちは本格的な大工道具や機織り機などを使いながら、多様な表現技法や伝統、環境に配慮した生活へのヒントなどを学んでいく。そして、必要なものを自分の手でつくる方法や、「たったひとつのもの」を生み出す喜びを感じながら成長していく。

人の手で、時間をかけてつくられたものは、使えば使うほど馴染み、サイズも、好みも、家族の毎日にぴったりとフィットしてくる。だから簡単に買い替えたりはしないし、何代にもわたって引き継がれるものも少なくない。流行に流されない、そんな暮らしは素敵だと思う。

「代わりになるものがないだけ」と彼らは笑う。それは「かけがえのないもの」と同意語だ。彼らのスロイドに触れるたび、心から愛せるものに囲まれた、暮らしの尊さ、豊かさを思う。週末になったら、気になっていた椅子の貼り換えをしてみよう。上手くできてもできなくても、愛しい椅子になるに違いない。

 

<ナチュール   ミュークの扉   ウートゥスプリング>

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