赤ちゃんに選ばれる家って、どんな家? ―前編 子どもに安心な住環境とは?―

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赤ちゃんや子どもとの暮らしには、たくさんの喜びや幸せがあります。しかし身体が小さく、抵抗力や免疫力も十分でない赤ちゃんや子どもたちにとっては、住まいの中にもさまざまなリスクが潜んでいます。思わぬことで体調を崩したり、怪我をしてしまったり…そんな時、不安や戸惑いを感じるパパやママも多いのではないでしょうか。そこで今回は、赤ちゃんや小さな子どもが毎日を安心して過ごせる、安全で快適な住まいづくりについてご紹介します。

子どもと住まい

住まいは赤ちゃんや子どもたちにとって世界でいちばん安全な場所。安心して、健康に成長していける場所であるべきです。しかし、自分で環境を選べない赤ちゃんや小さな子どもたちは、大人のように不快感を訴えたり、危険を回避したりすることができません。特に生まれたばかりの赤ちゃんは、小さな身体で光や音、匂い、触れるものを、そのまま受け止めながら成長していきます。心と身体がぐんぐん育つ大切な時期だからこそ、できる限りの安心と安全、心地よさを用意してあげたいものです。

赤ちゃんにとって快適な家とは?

ここからは、赤ちゃんや小さな子どもにとっての「快適な住まい」のポイントを2つにしぼってご紹介します。それは、「室温」と「空気」です。

Point 1:室温を快適に!

赤ちゃんや小さな子どもは体温調節機能が未熟。大人のように発汗したりしながら体温を調節するのが苦手なので、室温や衣類にしっかり気をつけてあげることが大切です。特に夏の熱中症や冬の低体温症などには注意が必要ですが、冷房で身体を冷しすぎたり、厚着で熱がこもってしまったりすることもないように、様子をよく見てあげましょう。適切な衣服を選び、室内を適温にキープしてあげることが大切です。

また室温は、成長に不可欠な「睡眠の質」にも影響します。暑すぎたり寒すぎたりすると寝つきが悪くなったり、短時間で起きてしまったりすることも。就寝時の室温にも気を付けてあげましょう。

赤ちゃんにとって快適な温湿度の目安は下図のとおり。これは大人にとっても快適な環境です。

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PICK UP! 注意したい「温度ムラ」 ―床上30cmをチェック!―

快適な室温を実現するには、温度のムラにも注意が必要。たとえば同じ室内でも、窓ぎわと部屋の中央では大きく温度が違うことがあるからです。また、暖かい空気は天井付近に、冷たい空気は床付近に溜まりやすいため、温度ムラは高さによっても発生します。目安となる生活空間は赤ちゃんなら床から30㎝、3歳児(身長100㎝)なら床から60㎝。とくに赤ちゃんは床に近い場所で過ごす時間が長く、床上30cmの環境がとても重要。大人の体感だけでなく、赤ちゃんや子どもと目線を同じにしてチェックしましょう。また、冬に使用する床暖房にも注意を。長時間あたると低温やけどや脱水症のリスクがあるため、こまめな確認をお忘れなく。

常に「子どもの目線」でチェック!

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Point 2:空気をキレイに!

赤ちゃんや小さな子どもが吸い込む空気は、当然大人より少量です。しかし体重1kgあたりで比較すると、摂取量は約2倍※。そのため室内の空気が汚れていると、大人以上に影響を受けやすいのです。体内の重要な器官が形成される時期(神経系は1歳で大人の25%、6歳で90%が形成※)だからこそ、空気環境はとても大切。煙草の煙はもちろん、花粉やPM2.5、菌やウイルスなどもなるべく室内に入れない工夫が必要です。

※東京都福祉保健局 化学物質の子供ガイドライン ~室内空気編~

キレイな空気環境を叶えるための2つの工夫
①空気の汚れの原因となる物質を “増やさない”
②汚れた空気を “取り除く(排出する)” 

この2つの視点から、「化学物質」「カビ・ダニ」「その他の空気汚れ」に分けて対策を見ていきましょう。

 

「化学物質」に注意

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目には見えず、臭いもしない化学物質ですが、実は建材や家具などから放出されていることがあります。中でも「ホルムアルデヒド」に代表される揮発性の化学物質は、一定以上の濃度になると、目やのどの痛み、頭痛などの健康被害が懸念されています。フローリングやクロス、合板の接着剤や防腐剤に含まれていることが多く、微量であれば問題ないとされますが、換気が不十分だったり、使用量が多かったりすると、室内濃度が高まることがあります。こうしたリスクを抑えるために、建材や家具はできるだけ自然素材のものや、ホルムアルデヒドの放出を抑えた製品(F☆☆☆☆表示など)を選ぶことが有効です。また適切な換気を心がけ、室内に化学物質がこもらない環境を作ることが重要です。

「カビ・ダニ」に注意

こちらも目には見えませんが、室内には小さなカビの胞子や粉々になったダニのフンや死がいなどが浮遊していて、アトピーやぜん息等のアレルギー疾患の代表的な原因となっています。どちらも湿気を好み、室内の湿度が60%を超えると繁殖しやすくなります。湿度管理と十分な換気で、多湿を避けることが効果的です。また既に発生してしまったカビはこまめに掃除して取り除くようにしましょう。ダニの温床になりやすい寝具やカーペット、ぬいぐるみなどもこまめに掃除・洗濯することが効果的です。

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PICK UP! カビを呼ぶ「結露」に注意!

冬場の窓に見られる結露…放置するとカビの原因になります。窓のパッキンやカーテン、床や壁にも広がってしまう前に、気づいたらすぐにふき取りましょう。
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「結露で後悔しない住まいの性能」についてはコチラ

 

「その他の空気汚れ」に注意!

日常生活では、呼吸や調理などによってにおいや水蒸気、二酸化炭素などの汚れた空気が発生します。また、外からはチリやホコリ、花粉やPM2.5なども侵入します。これらの汚れた空気を排出するために大切なのが「計画的な換気」。新鮮な空気を取り入れて、室内の汚れた空気をきちんと排出することで、清潔で快適な空気環境を保つことができます。自然換気する場合は、空気の通り道を意識して、離れた2ヶ所以上の窓を開けると効果的です。ただし外が多湿の場合は湿気も取り込んでしまうので注意しましょう。換気設備で行う場合は24時間連続運転するのが基本です。給気口が開いているか、目詰まりしていないか、家具などで塞がれていないか等をチェックすることも大切です。

赤ちゃんの主な生活空間である床上30㎝は、粒子が大きく重たい花粉やホコリ・カビなどのハウスダストが溜まりやすい場所です。しっかりと効果的な換気を行うことで、安心して過ごせる空気環境を整えてあげましょう。

どう叶える?理想の住環境

ここまで、赤ちゃんや小さな子どもにとって安心で快適な住まいのポイントをご紹介しました。「快適な室温」と「キレイな空気」━━ どちらもシンプルで当たり前のことのようですが、実際に実現しようと思うとなかなか難しく、気をつかいすぎて疲れてしまうのも避けたいところです。

後編では、赤ちゃんや小さな子どもが安心して過ごせる住まいづくりを、無理なく実現するためのヒントをご紹介していきます。

 

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