掲載号:The SWEDEN HOUSE No.185

スコーネの魅力
スウェーデンを代表する児童文学作家、アストリッド・リンドグレーンの作品では、ピッピやロッタちゃんが多くの子どもたちに人気がある。それは主人公が魅力的ということも大きいと思う。セルマ・ラーゲルレーヴの 『ニルスの不思議な旅』は少々趣きが違う。ニルス少年が主人公だが、本当の主役はスウェーデンの風景そのものなのだ。
この本は、もともと小学校の地理の教科書にと書かれた作品。小人にされてしまったニルスがガチョウのモルテンに乗って南端から北の雪山まで旅をする。この国の地理と地形がとても楽しく分かっていく作品。
ニルスが生まれたスコーネ地方は、豊かな穀倉地帯。地形はなだらかで穀物がよく実り、豪農の屋敷や貴族の城も見える。どこまでも平坦な大地、海からの風、大きな空、スコーネは私が育った土地に良く似て懐かしい気持ちになる。
Prof ile
深井せつ子
画家。北欧各国の清涼な風景に魅かれ、北欧行を重ねながら、個展・出版等で作品の発表を続けている。絵本に『イェータ運河を行く』、『風車がまわった!』、『一枚の布をぐるぐるぐる』など。北欧絵本『森はみんなの保育園』は昨年10月に出版された(全て福音館書店)。
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