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Sweden 旅の途中で(2014年⑤)バルト海航路にて

この記事の目次

掲載号:The SWEDEN HOUSE No.162

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バルト海航路にて

ストックホルムと隣国フィンランドのヘルシンキ間は飛行機で約1時間。ビジネスならば、それがベスト。でも、全てを「旅」として楽しみたい人には航路を勧めたい。どちらかの都市を夕方出航すると、翌朝には先方の都市へ着く「バルト海航路」だ。

往復する主な大型客船はヴァイキングラインとシリアライン。内海なので荒海に揉まれることはほとんどない。どちらの船も巨大で内装も豪華だが、南欧クルーズ船と違って甲板にプールや娯楽施設があるわけではない。なにしろ北極圏もそう遠くない地域だ。

この航路を私はこれまで何度も行き来してきた。最初は1985年。昨年は9月に乗船した。バルト海には島がたくさんあるので、船がその間をぬって進み、風景が絵巻物のように変わっていくのはいつでもワクワクする。ひんやりとした風や、海の香り、カモメの鳴き声も、心を寛がしてくれる。

とくにストックホルム出航は魅力的。この都市は入江のずっと奥に位置しているのでバルト海に出るまでが長い。

無数にある小さな島には、夢のように愛らしいサマーハウスで過ごす人々も見える。

ヨットを操る人、釣りをする人、食事をする家族。まだ明るい陽の中で風景がゆっくり変わっていく。見とれているうちに秋の陽は傾き、空の青みが濃くなってきた。トワイライトタイムだ。夜に移行する前のわずかな『極上の時間』。

昨年9月のその時間は、空と海のハーモニーが最高だった。いまだ忘れることができない。

 

Prof ile
深井せつ子
画家。北欧各国の清涼な風景に魅かれ、北欧行を重ねながら、個展・出版等で作品の発表を続けている。絵本に『イェータ運河を行く』、『風車がまわった!』、『一枚の布をぐるぐるぐる』など。北欧絵本『森はみんなの保育園』は昨年10月に出版された(全て福音館書店)。

Instagram(@setsukofukai)

 

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