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Sweden 旅の途中で(2013年②)小さな村の喫茶店

この記事の目次

掲載号:The SWEDEN HOUSE No.154

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小さな村の喫茶店

一年前の初夏、私はスコーネ地方南端の都市マルメから車で移動していた。目的地はヘルシンボリ。E6(ヨーロッパハイウェイ6)は真っ直ぐに延び快適だった。

でも、しばらくして、こんな美しい田園風景が一瞬で後方に飛び去るのはモッタイナイ、急ぐ旅でもないし。私と連れ合いはE6を少し離れてみることにした。

ひとたび車線を離れると、あたりは鳥の声が響く静かな田舎道だ。どこかで休みたいと思いソロソロと走って行くと小さくカフェと書いてある家があった。

白い木製のドアを開けるとテーブル席がいくつかあったが誰も居ない。次の間を覗くとソファーと低いテーブルの素敵なリビングルームがあった。でも誰も居ない。次々と奥の部屋へと進んで行くと、やっと人が居て珈琲コーナーがあった。

老紳士と若者数人が何かを作っている。ただ、どうも近所の人々が集っている雰囲気ではない。ここはいったい何なのだろう。 

熱いコーヒーを飲んで、私達も落ち着いてきたので老紳士に聞いてみた。
ここは、近隣に住む知的障害を抱える青年期の人がいつでも集まれる場所なのだとのいう。一種のデイケアセンターだが、決まりごとはあまり無いらしい。だから青年達は中庭の芝生で休んだり、何か作ったり、めいめいが自由に行動してる。老人達は静かに見守る世話役だ。

おそらく地方行政のひとつの在り方だろうけど、肩肘張ったシステムではなく、自然にみんなが集まった感じが見ていて心地良い。

なにより「カフェ」と書いて旅人の私達まで迷い込むような雰囲気は素敵だなと思った。

 

Prof ile
深井せつ子
画家。北欧各国の清涼な風景に魅かれ、北欧行を重ねながら、個展・出版等で作品の発表を続けている。絵本に『イェータ運河を行く』、『風車がまわった!』、『一枚の布をぐるぐるぐる』など。北欧絵本『森はみんなの保育園』は昨年10月に出版された(全て福音館書店)。

[ホームページ]www.setsukofukai.com

 

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