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Sweden 旅の途中で(2013年①)昼間のおうち

この記事の目次

掲載号:The SWEDEN HOUSE No.152

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昼間のおうち

森の中で遊んでいると思った幼児が実は保育園の庭で遊んでいたと知って驚いたことがあった。その”森“の中の小さな赤い建物が保育園だった。十数年前のストックホルムでのことだ。当時、それは、ダーグヘム「昼間のおうち」と呼ばれていた。時間割も集団行動もなく、本当に昼間に行く”おうち“なのだった。なんて自由で楽しい幼年時代なんだろう。まだ小さかった自分の子供をここに連れて来たい、と思ったものだ。

そして、今年6月、南の都市・マルメに立ち寄った。夫と二人で朝の散歩をしているとき、19世紀初頭くらいの家並みで、小さな看板を見つけた。

鉄製で、絵柄はワインやメガネではなく子供が三人。商店ではないし何かな、と見とれていると彼が「保育園だよ」と教えてくれた。地名の続きには、確かにFörskola と文字がある。

ダーグヘムという呼び名は10年くらい前から、このようになったという。通りから見ると建物だけだが、昔の住宅街なので家に入れば、ゆったりとした中庭が見える。幼児には十分の広さだと思う。それにお散歩なら、すぐそばにマルメ城の公園がある。幼児は思い思いの服を着て、それぞれがそれぞれの遊びに熱中して、でもみんな仲良し。

この国では親以外に保育士、地域の相談員、お役所、国と、全体がひとつになって子育てをしている。「子供は未来を開く大切な宝物だから」と、こぞって言える社会。羨ましい。Förskola は「就学前学校」と呼ばれているが、内容はダーグヘム時代と変わらずノビノビ保育。中庭ではみんな元気いっぱい。「子供の遊ぶ声がウルサイ」なんて人は、ここには居ないようだ。

 

Prof ile
深井せつ子
画家。北欧各国の清涼な風景に魅かれ、北欧行を重ねながら、個展・出版等で作品の発表を続けている。絵本に『イェータ運河を行く』、『風車がまわった!』、『一枚の布をぐるぐるぐる』など。北欧絵本『森はみんなの保育園』は昨年10月に出版された(全て福音館書店)。

[ホームページ]www.setsukofukai.com

 

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