東京都独自の助成金がもらえる、「東京ゼロエミ住宅」ってどんな住宅?

この記事の目次

東京ゼロエミ住宅が創設された目的は?

東京ゼロエミ住宅は東京都独自の制度で、「家庭部門におけるエネルギー消費量の削減に向けた住宅の環境性能向上」を東京都環境基本計画で挙げており、その推進を目的として創設されました。

東京ゼロエミ住宅は、高性能住宅といわれる「ZEH」よりも高い断熱性と省エネ性を備えた住宅です。少ないエネルギー消費量で室内を適温に保ちやすく、暑さや寒さが厳しい時期でも快適に過ごせます。そして、東京都では東京ゼロエミ住宅を建てた方に対して、補助金を支給しています。

東京都環境局の助成制度には、次のような内容が書かれています。

都内のエネルギー消費量の約3割を占める家庭部門の省エネルギー対策を推進し、東京の地域特性を踏まえた省エネ性能の高い住宅を普及させるため、令和元年度から「東京ゼロエミ住宅」を新築した建築主に対し、その費用の一部を助成する事業を実施しています。

引用:東京都環境局 「助成制度」

東京ゼロエミ住宅の水準

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東京ゼロエミ住宅は、高い断熱性と省エネ性を兼ね備えた住宅です。性能の基準は3段階あり、もっとも性能がよい住宅と判断されると、最大で240万円の補助が受けられます。断熱性と省エネ性能の高さと補助金の関係性は、以下の表のとおりです。

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外皮平均熱貫流率とは、外皮(建物の外壁)を介して住宅全体の熱がどれくらい逃げやすいかを示す数値です。数値が低くなるほど、断熱性が高いと判断されます。ZEH基準では0.60以下と決められていることからも、東京ゼロエミ住宅として求められる断熱性がいかに高いかがわかりますね。
また、省エネルギー基準とは断熱等性能等級4以上、かつ一次エネルギー消費量等級4以上である住宅です。東京ゼロエミ住宅はこの基準よりもさらに高い断熱等級5を達成したうえで、省エネルギー基準よりもエネルギー消費量を削減できる住宅しか補助金の対象になりません。
なお、再エネ設備とは、太陽光発電システムといった自然エネルギーを利用した発電設備です。住宅の屋根面積が極小である場合を除いて、設置が必要となります。

【参考】東京都環境局「東京ゼロエミ住宅」とは

 

再エネ設備に対する助成金

東京ゼロエミ住宅の補助を受けるには、原則的に太陽光発電設備や蓄電池、V2Hといった再エネ設備の設置が必要です。V2Hとは、電気自動車やプラグインハイブリッド車のバッテリーに貯めた電力を、自宅で使えるようにする機器のことです。でも、太陽光発電設備の設置費用は高額なため、導入に迷う方もいるはずです。
そのような方は、太陽光発電設備に関する助成を利用しましょう!助成事業では、以下のような補助をおこなっています。

<太陽光発電設備>
【3.6kW以下】オール電化住宅:13万円/kW(上限39万円)、それ以外の住宅:12万円/kW(上限36万円)
【3.6kW超 50kW未満】オール電化住宅:11万円/kW、それ以外の住宅:10万円/kW
※50kW以上は対象外

<蓄電池>
12万円/kWh

<V2H>
費用の1/2(上限50万円)
※電気自動車等を所有し、太陽光発電設備を設置している場合は 10/10 を助成 (上限額 100 万円)

これらの助成は、東京都内で新築住宅(床面積の合計が 2,000平方メートル未満が対象)を建てる人が対象です。細かな条件が設けられていないのは、利用者にとって魅力的な助成事業といえますよね!

【参考】東京都環境局「助成制度」

東京ゼロエミ住宅で併用できる補助金

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ここまで読んで、「東京ゼロエミ住宅の補助や助成はありがたいけど、もう少し補助を受けられないかな?」なんて思った方もいるのではないでしょうか。実は、東京ゼロエミ住宅の補助・助成を受けたとしても、以下の補助金なら併用できます! 

● 子育てグリーン住宅支援事業(「長期優良住宅及びZEH水準住宅」への補助のみ併用可能)
● 子育て支援型共同住宅推進事業
● 東京ゼロエミポイント(冷蔵庫の買替のみ)
● 東京こどもすくすく住宅供給促進事業
● 地域型住宅グリーン化事業
● 子育てエコホーム支援事業 
● こどもエコすまい支援事業 

ただし、逆に併用不可の補助や助成もあるので要注意。併用不可の補助・助成は、以下のとおりです。

● 子育てグリーン住宅支援事業(「GX志向型住宅」への補助は併用不可)
● 戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)化支援事業
● 集合住宅のCO2化促進事業(ZEH-M)
● 高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金(給湯省エネ事業)
● 東京ゼロエミポイント(エアコン、給湯器及びLEDの買替)
● その他、東京都環境公社(クールネット東京)が実施している「太陽光発電設備」「蓄電池」「エコキュート」「エネファーム」「V2H」等に対する助成事業
● 次世代ZEH+実証事業 
● LCCM住宅整備推進事業
※掲載内容には、すでに終了した補助金が含まれている場合があります。ご利用の際は最新情報をご確認ください。

自分たちがどの補助や助成金を使えるのか、また、どの組み合わせでもっとも補助額が多くなるのかは、ぜひスウェーデンハウスのホームコンサルタントまでお気軽にお問合せください。

【参考】東京都環境局「助成制度」

東京ゼロエミ住宅の申請方法

東京ゼロエミ住宅の補助を受けるには、まず東京都が定める「登録認証審査機関」か「クール・ネット東京(東京都地球温暖化防止活動推進センター)」に申請します。この申請をおこなうのは、原則として建築主です。ただし、なかには施工会社が申請を代行してくれるケースもあります。そのため、担当する会社が代わりに申請してくれるか、事前に聞いてみましょう。
手続きには「認証手続き」と「助成手続き」の2種類があり、同時に進めていかなければいけません。それぞれ、以下のような内容です。

<認証手続き>
● 新築した住宅が東京ゼロエミ住宅の基準を満たしているか確認する手続き
● 東京都の認定した認証審査機関へ申請する

<助成手続き>
● 助成の申請を進めるための手続き
● クール・ネット東京へ申請する

そして、手続きは「工事着手前」「工事中」「工事完了後」の3つに分けられています。3つの区分ごとに、認証審査機関とクール・ネット東京へ申請を進めましょう。それでは、認証手続きと助成手続きの進め方を解説しますね。

【参考】東京都環境局「助成制度」

 

認証手続き

認証手続きは指定審査機関への手続きです。手続きは、以下のように進めます。

【工事着手前】
1.   新築住宅の設計図面と省エネ計画書をハウスメーカーに作成してもらう
2.「認証審査機関」へ図面一式と東京ゼロエミ住宅設計確認申請書を提出する

【工事中】
1.「認証審査機関」から東京ゼロエミ住宅設計確認書が交付される

【工事完了後】
1.「認証審査機関」へ工事完了検査申請書を提出する
2.「認証審査機関」から東京ゼロエミ住宅認証書が交付される

認証手続きに関するポイントは、提出する書類を作成しておかなければいけない点です。新築住宅の設計図面や省エネ計画書をハウスメーカーに作成してもらうには、どのような家を建てるのか決めておく必要があります。決めるのに時間がかかってしまうと、東京ゼロエミ住宅の申請手続きが始められません。
東京ゼロエミ住宅助成事業は予算が決まっており、利用可能な時期も決まっています。補助を受けるためにも、なるべく早くハウスメーカーに相談することが大切ですよ!

【参考】東京都環境局「助成制度」

 

助成手続き

助成手続きはクール・ネット東京への手続きです。手続きは、以下のように進めます。

【工事中】
1.   東京ゼロエミ住宅設計確認書の交付日から90日以内に「クール・ネット東京」へ交付申請書を提出する
2.「クール・ネット東京」から交付決定通知書が交付される

【工事完了後】
1.   東京ゼロエミ住宅認証書の交付日から180日以内、もしくは東京ゼロエミ住宅助成事業の期限のいずれか早い日までに「クール・ネット東京」へ助成事業実績報告書兼請求書を提出する
2.「クール・ネット東京」から助成金確定通知書が交付される
3.   指定した口座に補助金が入金される

クール・ネット東京へ提出する書類は、「交付申請書」と「助成事業実績報告書兼請求書」です。どちらの書類も提出期限が決まっているので、手続きするときには注意してくださいね。なお、助成手続きは認定手続きと違って、工事前にやることはありません。

【参考】東京都環境局「助成制度」

まとめ

再エネ設備を設置した高い断熱性と省エネ性を兼ね備えた住宅を建築して、東京ゼロエミ住宅助成事業を利用すれば、補助金を受け取れます。「高性能な住宅を建てたいけど、できるだけ費用は抑えたい…」という人には、おすすめの制度です!
ここでは、東京都独自の東京ゼロエミ住宅について解説しました。東京都以外で新築住宅を建築するなら、建てる地域の自治体に助成・補助制度がないか確認しましょう。自治体によって助成・補助の対象が異なったり、制度自体の有無に違いがあったりするからです。助成や補助をうまく活用し、高性能な住宅を手に入れてくださいね!

※本記事の内容は執筆時点のものとなります。助成金制度等の情報は変更される場合がございますので、最新の情報は各制度の公式サイトをご確認ください。

 

[筆者プロフィール]

プロフィール_八木八木 友之(やぎ ともゆき)

宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター
大手不動産仲介会社など計5社に勤める。不動産売買仲介・不動産買取・事業用定期借地権での法人テナント誘致などを行う。これらの業務に18年間携わり、不動産売買全般、借地、税金、相続などの分野に強い。現在、不動産・金融webライターとして執筆活動中。愛知県出身。

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