Lagom[ラゴム]とは、スウェーデン語で【ちょうどよい、ほどほど】という意味で、ヴァイキングたちが一杯の蜂蜜酒を回し飲みする時に、それぞれが自分にちょうどいい量を飲んで分け合った“Laget om(ラーゲット・オム)= 仲間と分け合う”という言葉が語源とも言われる。多すぎず、少なすぎず、自分に合った物や量を良しとするスウェーデンの哲学を表す言葉。
掲載号:The SWEDEN HOUSE No.183
幸せのサイズ
「好きなだけどうぞ」――そう言われるとなんだか嬉しくて、ついたくさんの物を望んでしまう。けれど、本当は「自分に必要な分」というのは決まっていて、それが少なすぎても、多すぎても、案外落ち着かないものだったりする。食べ物も、空間も、時間も、働き方や財産、幸福でさえ、自分がちょうどいいと思えるサイズがあるということを、私はスウェーデン家庭の“家族のソファ”から教わった。
父が本を読む、母が手芸をする、妹がTVを見る、兄が犬と遊ぶ… 一人で広々と使う時よりも、家族でいる方が居心地が良かったりする。彼らは無意識に、自分に必要十分なスペースで空間を分けあい、お互いのぬくもりを感じながら好きなことをする。干渉し合わないけれど、繋がっている。“ラゴム”の意味を噛み締める光景だった。
気が付くと、スウェーデンは街中が“ラゴム”で溢れていた。必要が満たされるように頑張りはするが、必要以上は受けないで、他の人の必要も同じように満たされることを願う。自分も、仲間も大切に―― ヴァイキングの子孫ならではの生き方は、とてもおおらかで、カッコイイ。