住宅を購入する際には物件代金のほかにも、さまざまな費用が必要になります。諸費用の合計額は、数百万円かかることも珍しくありません。そのため、住宅購入の前には、どのような費用がいくらかかるのか理解しておくことが大切です。本記事では、住宅購入にかかる諸費用を支払い項目に分けて詳しく解説します。
住宅購入にかかる諸費用とは?
住宅購入にかかる諸費用とは、物件代金以外に支払う必要がある費用です。「諸」費用と呼ばれるように、住宅を購入する際にはいくつもの費用を払う必要があります。購入する住宅の種類によって費用は異なりますが、目安は物件価格の3~9%程度です。
諸費用の内訳
住宅購入の際には、以下のようにさまざまな諸費用がかかります。

それぞれの項目について、詳しく解説していきます。
税金関連

住宅購入の際には、以下のような税金が課されます。
● 印紙税
● 不動産取得税
● 固定資産税・都市計画税
続いて、各税金の内容を見ていきましょう。なお、住宅購入の際に登録免許税も課されますが、こちらは住宅ローン関連費用の中で解説します。
印紙税
印紙税とは、課税文書作成時に課される国税です。住宅を購入する際に作成する課税文書の代表例は、「売買契約書(請負契約書)」と「金銭消費貸借契約書」です。印紙税額は契約金額やローンの借入金額によって、以下のように変わります。
【売買契約書(請負契約書)作成時の税額】

※税額は一部を抜粋
※2027年3月31日までに作成する文書に適用
【金銭消費貸借契約書作成時の税額】

※税額は一部を抜粋
たとえば、5,000万円の物件を購入し、3,000万円を借り入れる場合は、1万円と2万円で合計3万円の印紙税が課されます。
参照元:国税庁 印紙税額
不動産取得税
不動産取得税は、不動産を取得した際に課税される地方税です。購入後に一度だけ課税され、不動産の引き渡しを受けてから、3~6か月後に自治体から納税通知書が届きます。
不動産取得税は、以下の計算式で算出されます。
・不動産取得税=固定資産税評価額×4%(標準税率)
※2027年3月31日までに取得した土地と住宅用の家屋の場合は3%に軽減
※税率は自治体によって異なります
不動産取得税は築年数が新しいほど減税が大きく、古いほど税額が高くなる傾向があります。
なお、不動産取得税の減税を受けるためには、事前に自治体への申請が必要です。自動的に減額された税額で通知が来るわけではありません。
固定資産税・都市計画税
固定資産税は建物や土地などの固定資産を所有している方に課税され、都市計画税は市街化区域内にある不動産を所有している方に課税される地方税です。どちらの税金も1月1日現在の所有者に課される税金で、毎年4月頃に自治体から納税通知書が届きます。
固定資産税と都市計画税は、以下の計算式で算出されます。
・固定資産税=固定資産税評価額×1.4%(標準税率)
・都市計画税=固定資産税評価額×0.3%(標準税率)
※税率は自治体によって異なります
不動産を売買する場合、固定資産税も都市計画税も売主に課される税金ですが、年の途中で所有者が変わっても、売主が1年分を納税する必要があります。そのため、引き渡しの際に日割り精算を行い、一部の金額を買主が売主に支払います。
なお、日割り精算の基準日は地域によって異なります。関東では1月1日、関西や中部では4月1日に設定する場合が多いです。
住宅ローン関連
住宅ローンを利用する場合、以下のような諸費用がかかります。
● 事務手数料・ローン保証料
● 団体信用生命保険料
● 抵当権設定登記
それでは、各項目について詳しく解説します。
事務手数料・ローン保証料
事務手数料は住宅ローン手続きにかかる費用で、ローン保証料は、連帯保証人を立てない代わりの保証として支払う費用お金です。いずれも一般的には融資実行時に差し引かれ、金額は金融機関によって異なります。事務手数料が高い代わりに保証料が不要な場合や、事務手数料は低いが保証料は別途必要な場合があります。
団体信用生命保険料
団体信用生命保険とは、住宅ローンを借りた方が返済途中で死亡、または高度障害となった場合に保険金が下りる保険です。一般的に、保険料は住宅ローンの金利に含まれます。ただし、保険の適用範囲が広い特約をつけると、金利が上乗せされる場合があります。月々の返済金額と安心のどちらを取るかによって、団体信用生命保険の適用範囲を決めるとよいでしょう。
登記費用
住宅ローンを利用する際には「抵当権設定登記」が必要となり、登記費用は登録免許税と司法書士報酬が主な内訳となります。ここでは、抵当権設定登記に加え、住宅購入時に必要となる登記費用について解説します。
● 抵当権設定登記
住宅ローンを借りる際、金融機関が土地や建物を担保にするために行う登記です。
この登記をすることで、金融機関は返済が滞った場合に担保物件を処分したとき、他の債権者よりも優先的に債権を回収できます。
・登録免許税=債務金額×0.4%(軽減税率:0.1%)
● 所有権移転登記(土地)
土地の所有権が売主から買主へ移った際に、その変更内容を法務局に公的に登録する手続きです。これにより、その不動産の所有者が誰であるかを法的に明確にし、第三者に対して対抗できるようになります。
・登録免許税=土地評価額×2.0%(軽減税率:1.5%)
● 所有権保存登記(建物)
新築の建物など、まだ登記簿に所有者の記録がない不動産に、最初に所有権を登録する手続きです。住宅ローンを組む際には、融資を受けるためにこの登記が必須となります。
・登録免許税=建物評価額×0.4%(軽減税率:0.15%)
司法書士報酬は依頼する司法書士事務所によって異なりますが、5~15万円前後が目安です。
また、登録免許税は築年数や購入する建物の性能によって減税措置があります。
参照元:財務省 登録免許税に関する資料
保険関連

保険関連では、以下のような諸費用がかかります
● 火災保険料
● 地震保険料
保険の内容や、加入が必要かどうかを詳しく解説します。
火災保険料
住宅ローンを借りる場合は火災保険の加入が必須となり、火災保険料がかかります。一般的に、引き渡し日から補償が受けられるように加入手続きと支払いを済ませます。
火災保険料は購入する不動産がある地域や構造、面積などによって決まるほか、一括払いか分割払いかによっても支払い総額が変わります。
なお、現金で住宅を購入する場合、火災保険の加入は必須ではありません。ただし、日本では隣家に重大な過失がない限り、延焼の被害があっても損害賠償請求できないため、加入を検討することが望ましいといえます。
地震保険料
地震保険への加入は任意ですが、地震が多い日本においては実質的に必要不可欠といえます。火災保険だけでは補償できない部分を補填する役割があるため、火災保険とセットで加入する必要があります。
火災保険と同様に、不動産の所在地や構造などによって保険料が決まります。そのため、一概に金額の目安を示すことはできません。
その他
住宅購入の際には、税金や住宅ローン関連以外にも、以下のような諸費用がかかります。
● 仲介手数料
● 管理費・修繕積立基金
● 引っ越し費用
● 家具・家電の購入費用
それでは、どのような費用なのか見ていきましょう。
仲介手数料
仲介手数料は、不動産仲介会社を介して不動産を購入したときにかかる手数料です。支払いのタイミングは不動産会社によって異なりますが、一般的には契約時に半額、引き渡し時に半額、もしくは引き渡し時に一括で支払います。
仲介手数料は、売買金額によって以下のように算出されます。

※税抜きの計算式
たとえば、5,000万円の不動産を購入する場合は以下の通りです。
・5,000万円×3%+6万円=156万円(税抜き)
つまり、仲介手数料として税込171万6,000円かかるということです。
管理費・修繕積立基金
新築マンションを購入する場合、管理費・修繕積立基金がかかることがあります。マンションを管理したり修繕したりするためには、積立金が必要です。しかし、新築後すぐに問題が発生した際はまだ積立金が少ないので、解決するための資金を準備できない可能性もあります。そのような場合に備え、新築マンション購入時に、一時金として管理費・修繕積立基金を徴収される仕組みです。
金額は新築マンションによって異なり、数十万円かかる場合があれば、設定されていない場合もあります。
引っ越し費用
引っ越し費用は、時期や移動距離、荷物の量によって変動します。たとえば、引っ越し閑散期に4人家族が15キロ圏内で移動した場合は7~8万円程度、同じ条件で繁忙期に引っ越しすると、10~11万円程度かかるといわれています。また、引っ越し業者によっても金額が変わります。
家具・家電の購入費用
新築の不動産を購入する場合、家具・家電を一式購入すると100万~300万円かかるといわれています。家具・家電の購入費用は意外と高額になりやすいですが、諸費用に含めることを忘れがちな項目です。予算オーバーを防ぐためにも、家具・家電の購入費用も資金計画にしっかり組み込みましょう。
まとめ
予算オーバーした状態で物件を購入すると、ローンの返済が厳しくなる可能性があります。そのため、諸費用を含めた「総額予算」で資金計画を立てることが重要です。諸費用の正確な金額を把握したい場合は、不動産会社や金融機関にご相談の上、算出してもらうことをおすすめします。
また、保険料や引っ越し費用についても確認が必要です。
諸費用まで含めた資金計画を整えることが、住宅購入を成功させる第一歩です。余裕ある予算で、安心の暮らしを手に入れましょう。
[筆者プロフィール]
八木 友之(やぎ ともゆき)
宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター
大手不動産仲介会社など計5社に勤める。不動産売買仲介・不動産買取・事業用定期借地権での法人テナント誘致などを行う。これらの業務に18年間携わり、不動産売買全般、借地、税金、相続などの分野に強い。現在、不動産・金融webライターとして執筆活動中。愛知県出身。