マイホームをお考え中の皆さん、新しい住まいでは、どんな暮らしを叶えたいですか?暮らしやすい間取り、使いやすい設備、心地よいインテリア…きっとたくさんあると思います。その希望を具体的なカタチにしていくのが家づくりの醍醐味なのですが、忘れてはいけないのが「防災」への視点です。今回の記事は、“自然災害の多い国、日本”について確認するところからスタートし、“災害が発生した時に家族を守ってくれる住まい”について考えます。
自然災害の現在地 ━地球温暖化で増える「想定外」の被害━
有史以来日本は、地震や台風、大雨、大雪、火山噴火などの自然災害に多く見舞われてきました。統計を見てみると、なんと世界の地震(M6.0以上)の約2割が日本周辺で発生し(※1)、世界の台風の約5割が日本に接近しています(※2)。台風の通り道になっていることや、多くの活火山を有することなどの原因もあり、日本は地理的に自然災害が発生する確率の高い国といえます。
●マグニチュード6以上の地震回数(2011~2020)

※1 出典:国土交通省 世界のマグニチュード6以上の震源分布
※2 出典:気象庁 台風の平年値
近年は地球温暖化を背景に、以前に増して台風・大雨が頻発化・激甚化しています。「IPCC」(※3)の報告書では「地球温暖化に伴い、勢力の強い温帯低気圧の割合は現在よりも増す」と指摘され、日本も独自に「地球温暖化がさらに進行した時に、これまで同様の気象現象が発生したら一体どんな影響がもたらされるのか」をシミュレーション・公表しています(※4)。それによるとこのまま地球の温暖化が進むと、台風はより発達した状態で日本に上陸する可能性があるとのこと。降水量も増加し、風もさらに強まるなどして被害が大きくなることが予測されています。温暖化による気候変動は、より身近なリスクになっているのです。
※3 「Intergovernmental Panel on Climate Change」の略で、日本語では「気候変動に関する政府間パネル」。温暖化のメカニズムや影響、その対策に関する科学的な知見を提供する世界的な組織で、2007年にはノーベル平和賞を受賞している。
※4 出典:環境省 勢力を増す台風2023
このように、日本における自然災害の増大や強大化が予想される今、私たちはますます防災への備えが必要となります。正しい知識、被災時を想定した物資の備えなどももちろんですが、暮らしの要となる「家」を守るために、できることはないのでしょうか。家は大切な命と財産、日常の暮らしを守ってくれる存在。災害に強い家とはどんな家なのか…今回はスウェーデンハウスの標準装備である「木製サッシ3層ガラス窓」に着目しながら、災害と家の関係を見ていきたいと思います。
“地震に強い家”は「窓」が違う
“地震に強い家”とは?
地震に強い建物で大事なのは「揺れが少ないこと」です。スウェーデンハウスは例えるなら「堅い箱」で、地震の際に家の「揺れが少ない」つまり「変形が少ない」のが特徴。床・壁・屋根の六面を強固に緊結して一体化させたモノボックス®構造が地震の力を面で受け止めます。そして揺れを吸収・分散させることで建物の「揺れを小さく」抑えて「変形を最小限に」とどめることができるのです。
カギをにぎるのは「窓」
「災害に強い家」は、災害に強い床・壁・窓・屋根の結びつきでできあがりますが、その中で一般的に弱点になりやすいのは開口部、つまり窓。したがって「強い窓」が「強い家」のカギといっても過言ではありません。建物の変形によって窓の開閉が困難になると逃げ遅れる危険性がありますし、また家の揺れが大きく、変形によって窓ガラスが割れてしまったらどうなるでしょうか。ガラスの破片でケガをする危険があるのはもちろん、災害時の防犯の問題(下記PICK UP!をご参照ください)、インフラ停止時の暑さ・寒さの問題も加わり、その後の暮らしに大きな影響を及ぼします。
スウェーデンハウスでは創業以来、地震の揺れによる家の全壊・半壊はもちろん、窓が開閉できなくなったりガラスが破損した事例はありません。大前提として家そのものの耐震性をしっかり確保した上で、窓の強さも備えているからです。標準仕様の木製サッシ3層ガラス窓は回転式で、一般的な引き違い窓とは構造も留めつけ方も異なります。下図で両者の違いをみてみましょう。
一般的な引き違い窓の場合
まずは左右2枚のガラス戸をスライドして開閉する、一般的な引き違い窓。このタイプの窓枠はビスで上下左右の四辺を完全に留め付けているため、地震の揺れで建物が歪むと窓にも直に影響が及びます。一度でも歪んだアルミサッシや樹脂サッシは元には戻りませんので、窓が開閉できなくなったり、サッシが損傷して窓ガラスが割れるといった被害が考えられます。

スウェーデンハウスの窓の場合
次にスウェーデンハウスオリジナルの、木製サッシ3層ガラス窓です。この窓は引き違い窓とは全く違う構造で地震の揺れにも強いというメリットがあります。躯体と窓枠の間にクリアランス(ゆとり幅)が設けられていて、地震の力が窓に影響しにくい構造です。躯体への留め付けは、ボルトで窓枠の左右2か所ずつ計4点(図中の①〜④)で行います。さらに窓枠内の周囲に施された気密パッキンが、万が一の歪みもサッシに影響させない役割を担います。

「地震の後」の安心も。試験で実証!
地震や台風によって高層建築物が揺れた時に、外装材などが脱落・損傷しないことを確認するための試験(※5)があります。壁に水平方向に力を加え、決められた角度まで力を加えた時に異常が起こらないことを確認するのですが、スウェーデンハウスの窓は中高層ビルの窓に求められる角度の力を加えても、通常通り窓を開閉することが可能でした。これは、大地震の後でもガラスが割れることなく、窓がその機能を維持できることを意味しています。
※5 窓の層間変位追従性能試験


ちなみに、この窓は厚さ4㎜のガラス3枚+12㎜の中空層2つで構成されており、中空層には断熱効果の高いアルゴンガスが充填されています。また、窓サッシに使用されている木の断熱性能はアルミの約1700倍。窓からの熱損失を最低限に抑えることができるため、寒い冬に暖房器具の使用ができなくなった場合にも、室内温度は外気の影響を受けにくいというメリットもあります。
PICK UP!災害時の防犯対策にも有効
大きな災害後は被災した建物や避難所において窃盗被害が多発することが問題になっています。理由の1つには被災地では警察を始めとする地域の防犯能力がどうしても低下してしまい、回復までにはある程度の時間が必要だということが挙げられます。そこで大事になるのが個人で行う防犯対策。侵入防止のためにしっかり戸締りをするということが基本になります。建物の倒壊・損壊を免れても、揺れによる窓ガラスの破損や窓枠の歪みなどで戸締りができなくなってしまえば、防犯上の不安が大きなストレスにもなります。窓やドアなど開口部の地震への強さは、災害時の防犯対策にも有効なのです。
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“台風・暴風雨に強い家”の性能とは?
前述したように、年々想定外の被害が増える台風。近年は台風以外にも、突発的・局地的な暴風雨・雷も多くなっています。ここでも家の「開口部」である窓の強さが、暮らしを守るカギとなります。
台風や暴風雨に強い窓かどうかを判断する材料に、水密性能と耐風圧性能という指標がありますので、ご紹介したいと思います。
指標① 水密性能
水密性能は、雨を伴った風が吹く時に室内への雨水の浸入をどのくらいの風圧まで防げるかを表す性能です。窓が風雨にさらされた状態で、どのくらいの風圧まで雨水の浸入に耐えられるかを5等級(W-1〜5)で評価します。スウェーデンハウス標準仕様の窓は水密性能試験によって、圧力差500Pa(パスカル)、瞬間風速35m/sに耐える「W-5」等級という最高グレードに該当。これは平均風速28.6m/s、降水量1時間に240㎜程度の強い台風・暴風雨でも窓から浸水しない性能を有し、中高層ビルや強風地域でも使用することができることを示しています。
窓のポ密性能試験
スウェーデンハウスの窓は水密性能 W-5等級!
ちなみに平均風速30m/s以上で“猛烈な風”(予報用語)となり、人は何かにつかまっていないと立っていられない状況になります。また1時間雨量が80㎜以上で“猛烈な雨”となり、人は息苦しくなるような圧迫感や恐怖を感じるようになります。

なお一般的な引き違い窓は激しい雨風が吹きつけると、その構造上、サッシのレール(下枠)に雨が吹き込んだり、水が溜まったりすることがあります。水の浸入は結露やカビ等の健康被害を招く恐れもあるので注意が必要です。また、その窓の水密・気密性能を超えるほどの台風や大雨の場合は、室内側に水が浸入することも考えられます。
指標② 耐風圧性能
耐風圧性能は、強い風によってサッシが変形したりガラスが割れたりしないようにするための重要な性能です。どのくらいの風圧に耐えられるかを7等級(S-1〜7)で評価します。スウェーデンハウス標準仕様の窓は耐風圧性能試験によって、風圧力2800Pa(パスカル) 、瞬間風速67m/sに耐える「S-6」等級に該当。ビルの23階でも使用することが可能なほどの性能に達していることが実証されています。
窓の耐風圧性能試験
スウェーデンハウスの窓は耐風圧性能 S-6等級!

ちなみに瞬間風速40m/sを超えると“猛烈な風”(予報用語※6)となり、屋外での行動が極めて危険な状況になります。さらに瞬間風速50m/sでは走行中のトラックが横転、瞬間風速60m/sでは鉄骨建造物が変形するほどの状況になってしまいます。
※6 気象庁が天気予報等で用いる言葉

“火災に強い家”を叶えるために
地震などの自然災害の際、二次災害として恐ろしいのが住宅火災です。窓は火の通り道になりやすい場所。外周を燃えない外装材や屋根材で被うのと同様に、窓の防火性能を高めることは非常に重要なことです。
木製なのに火に強い?
スウェーデンハウスで標準装備されるのは、木製サッシ3層ガラス窓。木製サッシと聞いて木は燃えやすいのでは?と思われたでしょうか。実は木は火に強いのです。木材は表面が燃えると1分間に0.6〜0.8㎜という非常にゆっくりした速度で炭の層をつくります。その炭化層が断熱の役割を果たし、火が木材の内部まで進行することを防ぐことができるのです。
消防が放水した建物火災のうち、通報後15分以内に放水が開始された割合は、約79%、20分以内では約91%(※7)。つまり窓が外からの炎に20分耐えられれば、消防が到着して放水がはじまり、その後の延焼を軽減できると予想されます。出火元以外の建物に延焼した割合は、令和3年の統計によると、放水した建物火災全体の36.5%(令和3年の統計による)ですが、窓でしっかりと延焼を防ぎながら消防の到着を待てるとしたら、その数字はぐっと下がることが期待できます。下の写真は防火性能試験で20分間炎にさらされ、室内をしっかり守り抜いた窓です。木材が20分間炎にさらされると、表面の炭化層は12〜16㎜程度。スウェーデンハウスの窓枠は、仮に表面が16㎜燃えても十分な厚みが残っていることが分かります。
※7 出典:消防庁 消防白書
一方、アルミや樹脂素材のサッシはすぐに全体が熱くなり、窓枠ごと溶け落ちてしまうことがあります。
窓の防火性能試験

「屋外側」は表面が炭化してるため、木の内部まで火が届かず、窓を支え続けています。それに対し、「室内側」は、炎がしっかりとシャットアウトされたため、影響がみられません。
世界初!スウェーデンハウスの防火窓
スウェーデンハウスは、窓・サッシを扱う会社から商品として窓を購入・採用しているわけではありません。住宅における窓の重要性を知る私たちは、自社工場で窓を製造し、性能実験と改良を重ねてきました。目指す項目の一つに火災の被害を最小限にとどめる強さも含まれます。そして1993年に国内で木製初の防火認定(※8)を取得、さらに2016年に世界で初めて「耐熱結晶化ガラス」を住宅用防火窓に採用して防火設備大臣認定を取得しています。耐熱結晶化ガラスは800℃という高熱にも変形しない耐熱性能を持ちます。また急激な温度変化にも強く、放水などの消化活動によって急激に冷却しても破損しない特徴もあります。さらにガラスのたれ下がりを防止するためにL字型の金物でガラス全体をがっちり固定します。サッシと窓枠の間には「加熱発泡材」も備わっており、炎の熱で25倍に膨らみ、サッシと窓枠のわずかな隙間もしっかり塞ぐことで、もしもの時の炎の侵入を防ぎます。
※8 建設省乙種防火戸認定

ここまで地震、台風・暴風雨、火災と…災害に対するスウェーデンハウスの「窓の強さ」をみてきました。スウェーデンハウスが窓の性能にこだわる理由は、それが単なる1パーツではなく重要な部材という位置づけだからです。“窓の性能によって、家全体の性能が決まる”と言っても過言ではないと考えています。
空き巣や強盗に備えた「防犯性能」も
最近、一般住宅を狙った侵入犯罪のニュースが多く報じられるようになり、私たちの防犯意識も変わりつつあります。侵入者は、より簡単な方法で侵入できる場所を探して犯行におよぶため、侵入手口で1番多いのはカギが開いているところ、次いでガラス破り、合鍵と続きます。一戸建ての場合は、半数以上が窓からの侵入です。ただし5分以内に侵入することができなければ、約7割が諦めるともいわれています(※9)。スウェーデンハウスの木製サッシ3層ガラス窓は、その名の通り3層(3枚)のガラス窓。しかも1枚あたりのガラスの厚みが4㎜と分厚く、短時間での侵入は困難です。ロックや開閉方法も通常の窓とは異なるので、防犯効果はさらに高まります。ただし、昨今は大きな音が出ても、時間がかかっても気にしない、手荒な犯行も増えています。さらなる安心のためには、補助錠を付けたり、窓ガラス全面に防犯フィルムを貼るといった対策も有効です。

※ 内閣府 政府広報オンライン
※9 出典:警視庁 住まいる防犯110番
まとめ
今回は防災・防犯という観点で、窓の性能をご紹介しました。
私たちは窓を通して、心地よい光や風を感じ、景色を楽しみます。日常の中での窓は外とのつながりを感じさせてくれる、なくてはならない存在。しかし災害時には“家族を守ってくれる”存在でなくてはなりません。この記事を通して、少しでも「スウェーデンハウスの窓なら、もしもの時にも安心」と感じていただけたら嬉しいです。聞きなじみのない言葉も多く、少し難しい内容だったかったかもしれませんが、もっと知りたいと思われた方はぜひモデルハウスで実際の窓を見て、触れてみてください。そしてこれからの暮らしを「強い窓」とともに過ごしていただきたいと思います。