皆様から実際に頂いた質問に対して、お答えいたします。今回は、木の家について。分かりやすく説明しましょう。
A. 木材を十分に乾燥させ、防腐処理を施すなど、適切な対応をとることが大切です。
世界最古の木造建築物として世界遺産にも登録されている法隆寺の建物のうち、五重塔・金堂・中門・回廊は、建てられた700年前後から現在に至るまで、1300年を超える歴史を今も刻み続けています。これは、適切な対策をすれば、木材は長く利用できる優れた建材であることの証明です。
木材が腐るのは、木材腐朽菌が繁殖するためです。木材腐朽菌は、木材の含水率が25%以上で、酸素があり、湿度85%以上かつ温度5~45℃の範囲の状況で、木材の主成分であるセルロース、ヘミセルロース及びリグニンを栄養分にして繁殖します。スウェーデンハウスが使用しているスウェーデンの製材は含水率が概ね15%以下に保たれており、かつ外壁に通気工法を採用しているため、高湿度といわれる日本の気候が問題になることはありません。
木の腐朽防止には、水分を適切に管理する(木材含水率及び湿度の管理)と同時に、防腐処理をすることが必要ですが、これについてスウェーデンハウスでは以下のような対策を取っています。
1階用外壁パネル | パネル底部から40センチの部分にあたる合板と枠材に、ホウ酸系の薬剤を浸漬処理し、これらの部品を組み合わせてパネルにしています。 |
加圧注入材 | 窓枠にはスウェーデンの自社工場で加圧注入した木材を使用しています。また、土台 や床根太には、JAS(日本農林規格)のK3相当の加圧注入材を使用し、耐久性に配慮しています。加圧注入材とは、木材を注入釜に入れ、内部の圧力を調整しながら薬剤を木材の内部に浸透させたものです。薬剤の成分が木材の組織内に強く定着するため、経年により成分が蒸発したり、流出することがなく、長期の使用が可能です。 |
A. はい、大丈夫です。
現在、日本で使われている木材の約80%は輸入材ですが、その中には、気候条件がスウェーデンに近い北米やロシアの木材も含まれています。また、日本の国産木材の主要生産地である東北・北海道地域には、スウェーデンの首都ストックホルムより冬の平均気温が低い都市もあります。
日本とスウェーデンが気候上大きく違う点に湿度が低いことが挙げられますが、低温低湿の地域でゆっくりと時間をかけて育った木は年輪の間隔が狭く、強度が高いといわれています。
また、材木として利用する場合、強度を高めるためには乾燥させることが重要ですが、スウェーデンハウスの構造材の含水率は、JAS(日本農林規格)の基準である19%を大きく下回る、概ね15%以下に保たれています。
A. 木目が詰まり硬く粘り強い性質を持つ『オウシュウアカマツ』・『オウシュウトウヒ』を使っています。
スウェーデンハウスで使用している樹種は大きく分けて2種類あります。窓や額縁、階段など、主な内装材には『オウシュウアカマツ(スウェーデン語:FURUフール)』を使っています。構造材や合板など主に建物の骨組に使用しているのは、『オウシュウトウヒ(スウェーデン語:GRAN(グラン)』で、構造材のうち保存処理をほどこす材(土台や一階の根太)には『オウシュウアカマツ』を使っています。
松というと、日本庭園にある曲がった松を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、オウシュウアカマツは杉のように真っ直ぐな姿をしており、日本のアカマツやモミに近い種類です。マイナス30℃にもなる寒冷地でゆっくり育つため、木目が詰まり、硬く粘り強い性質を持っています。木材の色は初めのうちは白く、年月とともにだんだん濃くなり、味わい深い飴色に変化していくところも魅力です。
A. 外壁パネルに高い効果が持続するホウ酸を使用することで、防蟻対策をしています。
木材に食害を及ぼすシロアリや腐朽菌等は、気づかないうちに木材を劣化させ、地震が発生した時の耐震性を著しく損なう住まいの大敵です。スウェーデンハウスの外壁パネルには、防腐・防蟻対策として効果が長期間にわたり持続するホウ酸系薬剤を使用しています。
ホウ酸は自然界のいたるところに存在し、シロアリや腐朽菌等から木材を保護する効果を備えています。また人体や環境への負担が少なく、無機物で化学的に安定しているため、スウェーデンを含む欧米諸国において、古くから使用されてきました。スウェーデンハウスは、日本で認められていなかったこの薬剤の効果を公的機関による試験で実証し、独自に日本木材保存協会の認定を取得。これにより、一般的に使用されている合成殺虫剤系の薬剤に頼らない住環境の実現を可能にしました。
A. スウェーデンハウスで使われている木材は、持続可能な森林から伐採されたもので、伐採後から森林の再生が始まり、現在も森林が増え続けています。
現在、スウェーデンは国土の70%以上を森林が占める緑豊かな国になっていますが、かつて森林破壊の危機に直面した経験があります。その反省から、1903年には樹齢80年に満たない木の伐採を規制する森林保護法を制定。以降、伐採後の森林再生が始まり、今でも森林が増え続けています。現在では、森林によるCO2の吸収量はヨーロッパの中でも最も多い国のひとつに数えられています。