掲載号:The SWEDEN HOUSE No.189
湖沼が無数にあるスウェーデン。その湖をゆっくりと運航する交通―― それが蒸気船。ポンポンポンとのどかな音で、19世紀末建造の木造船が湖をわたっていく。
かつては物資の運搬、人の往来などになくてはならない存在だった。現在は鉄道、トラック、飛行機となんでもある。それでも、湖では蒸気船がゆく!シリアン湖でも、ヴェーネン湖でも、小さな湖でも。"古き良きものは残す" ―― まさにスウェーデン魂だ。おかげで私は、ハイウェーを走らなくても、遠距離にある古都を訪ねることができる。
湖をわたる風はやさしい。湖畔では、コーヒータイムの家族や、釣りをする人々、サイクリングのグループなども見える。
蒸気船の旅は、夏だけのおくりもの。
Prof ile
深井せつ子
画家。北欧各国の清涼な風景に魅かれ、北欧行を重ねながら、個展・出版等で作品の発表を続けている。絵本に『イェータ運河を行く』、『風車がまわった!』、『一枚の布をぐるぐるぐる』など。北欧絵本『森はみんなの保育園』は昨年10月に出版された(全て福音館書店)。
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