掲載号:The SWEDEN HOUSE No.157
12月に入るとストックホルム市内はどこも活気づいてくる。新しいモミの木を手にした人、オーナメントを買いに出かける家族、沢山の人々が行き交っている。
毎日ウキウキ気分で眺めていた私はイブの夜、ギョッとしたことがあった。街に誰も居ない!人が歩いていない!商店もレストランも閉まっている。でも、建物上部の住宅部分の窓辺からは明るい光が漏れているので、皆、家庭に入ってクリスマスを過ごしているのだと悟った。
昨冬、ストックホルムを訪れると、長くこの国に住む友人が「イブの前の日、中央駅がごった返していて大変だったわ」と言った。
ここ十数年のストックホルムは、中央部のcity を囲むように開発住宅群の発展がめざましい。居住者も驚くほど増えたこととおもう。
そして、ストックホルムは、東京のように巨大ターミナル駅がいくつもあるわけではない。中央駅ひとつだけ。北へ行く人も南に向かう人も、この駅から出発する。だから故郷に向かう人は、この中央駅から出発することになる。
そう、クリスマスといえば、日本のお正月。両親や古い友人に会いたいにきまっている。キャンドルの光も一人で見るよりはみんなで見た方がずっと暖かいはずですね。
Prof ile
深井せつ子
画家。北欧各国の清涼な風景に魅かれ、北欧行を重ねながら、個展・出版等で作品の発表を続けている。絵本に『イェータ運河を行く』、『風車がまわった!』、『一枚の布をぐるぐるぐる』など。北欧絵本『森はみんなの保育園』は昨年10月に出版された(全て福音館書店)。
[ホームページ]www.setsukofukai.com
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