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なるほど!現地工場「日本×スウェーデン」の高品質。 ―前編 現地工場が可能にする安定品質―

作成者: スウェーデンハウス|2025.11.20

子どもや孫の代まで長く住み継ぐことを前提に、強さと快適さを兼ね備えた環境負荷の少ない住宅。それがスウェーデン住宅です。スウェーデンハウスは、この住思想を受け継いだ高性能で快適な住宅を日本で提供していますが、それを可能にしているのが現地自社工場「トーモクヒュース AB(※1)」の存在です。スウェーデンハウスの部材がどんな環境で、どんな思いを込めてつくられているのかを知っていただければと思います。
(※1) Aktiebolag(アクテエボラグ)の略称。スウェーデンにおける会社形態を表すもので、日本における株式会社とほぼ同義の言葉。

「住思想ごと」届けるのが輸入住宅

スウェーデンハウスはその名の通り、スウェーデン住宅を手本にした輸入住宅です。輸入住宅という言葉にはっきりした定義はありませんが、「海外の設計思想による住宅を、資材別またはパッケージで輸入し、国内に建築する住宅」を輸入住宅と呼んでいます。ここでポイントとなるのは“海外の設計思想による”という部分。つまり海外から調達した材料を使うだけだったり、見た目が海外風になっているだけだったりでは輸入住宅とは言えないということです。その家に住めばどのような暮らしができるのか…その「住まい方」を、それが実現できる資材とともに届けることが大切なのです。
1975年、スウェーデンハウスの創業者たちはスウェーデンで100年住み継ぐことのできる高性能の住宅に出合い、衝撃を受けました。当時日本はバブル経済到来目前の大量消費の時代で、30年前後で次々と建て替えられる住宅を目の当たりにしていたからです。スウェーデンでは、「 親が家を建て、子が別荘を建て、孫がヨットを買う」という言葉があります。家を使い捨てにせず、資産として長く住み継ぐことが豊かさにつながる―そんな価値観が根付いているのです。日本でもそんな住まいのあり方を 実現できないだろうかという思いで、スウェーデンハウスは設立されました。そして、日本の気候風土に合わせて改良したスウェーデン住宅を、その豊かな住まい方ごと皆さんにお届けしています。この思いは、スウェーデンハウスの事業理念にもなっています。

現地工場「トーモクヒュースAB」とは?

トーモクヒュースABの前身はスウェーデンの住宅部材メーカー。1991年に株式会社トーモク、スウェーデンハウス株式会社(現在の株式会社スウェーデンハウス)、三菱商事株式会社の3社が出資し、生産設備や機械、熟練社員を引き継ぐ形で再編し、日本市場向けに建築部材を安定供給するための拠点としてスタートしました。当時日本企業がスウェーデンに現地生産拠点を持つことは珍しいことでしたが、住宅の性能を左右する重要な部材を他社に外注したり、現地の会社に任せきりにしたりはできないと考えたのです。真に快適なスウェーデン住宅を日本に届けるためには、自社工場の設立は譲れない一歩でした。

スウェーデンの何処にあるの?

トーモクヒュースABは、ストックホルムから北西へ約250Km、ダーラナ地方のインション市にあります。ダーラナ地方は「スウェーデンの人々の心の故郷」とも呼ばれる自然豊かな場所。ベニガラ色の木の家や、ダーラヘストに象徴される伝統文化が息づく場所です(下部PICK UP!もご覧ください)。

 

ダーラナ地方に工場を持つメリットとは?

①安定した品質の木材
ダーラナ地方は良質な森林資源に恵まれていて、木目が詰まった、極めて丈夫で品質が安定した木材が調達できる土地。木材加工やものづくりに理想的な場所と言えます。

②木を知り尽くしたクラフトマンたち
豊富な森林資源は、木々への深い理解があるクラフトマンを育てます。ダーラナ地方は木材の扱いに長けた有能な労働力を確保しやすい土地柄なのです。

どのくらいの規模ですか?

敷地面積は16,000㎡、従業員は約70人。広々とした工場内では、クラフトマンたちが自らの手で作業するエリアの他、精密な 自動生産ラインを備えます。壁パネルや窓など、スウェーデンハウスを構成する主要な部材を製造し、品質を一つひとつ確かめながら日本へ送り出しています。

現地だからこそ! 良質な木材+熟練のクラフトマン  

樹齢80年前後の強い木材を調達し、その特性を知り尽くしたクラフトマンが作り上げるスウェーデンハウスの部材は、気密・高断性をハイレベルで実現するために欠かせないものです。特に「木質壁パネル」と「木製サッシ3層ガラス窓」は、ワングレード・ハイスペックのスウェーデンハウスを支える要。規格に則した品質管理が行き届くトーモクヒュースABで、機械と人の両方で何重にもチェックを重ねながら製造され、大切に日本に届けられています。

確実に仕上げる!「木質壁パネル」

 

製材所から届いた木材は、寸法や含水率をチェックしたのち、目視で割れ・節・反りなどを厳しくチェックします。その後、ホウ酸系薬剤を加圧注入して防腐・防蟻処理を行います。このホウ酸系薬剤はスウェーデンを含む欧米諸国では古くから使用されており、人体に害がなく、半永久的に効果が続きます。
次に骨太の枠材を組み立て、高密度のグラスウールを隙間なく充填。機械での充填後、目視で偏りや隙間をチェックしながら確実に仕上げます。そして室内側一面 に厚さ0.2mmの防湿気密フィルムを貼り付けた後、両面に合板を張り、製造ロットナンバーを印字してトレーサビリティを確保します。
木質壁パネルは組み合わせて強固な壁となり、さらに屋根や床としっかり接合して頑丈な住宅の躯体構造の要となるものです。また、家中の快適な温熱環境を保つための重要な部材でもあります。安定した品質で日本に届けるために、自社工場で一つひとつの部材を厳しく管理し、責任をもって製造しています。

スウェーデンハウスの現地工場見学「木質壁パネル編」は コチラ をご覧ください。

 

最重要部材!「木製サッシ3層ガラス窓」

厳しい受入検査を終えた木材は、まず無人で高度な切削を施すCNC(数値制御工作機械)によって複雑な掘り込みなどの精密加工が施されます。この工程では大きな稼働音や木屑などの飛散が生じるため、無人化によって作業する人の安全と健康を確保します。その後、劣化対策のために木材の組織内まで防腐剤を浸透させます。
気密パッキンの取り付けは熟練クラフトマンの腕の見せ所。気密性能・水密性能の要となる部分なので、手作業で一つひとつ丁寧に取り付けていきます。そして約180°回転する動作に必要なヒンジ(金物)などの金具の取り付け、窓外枠・サッシ(可動枠)の組み立て、3層ガラスの装填も、人の手で行われます。最後に窓の回転や動きに問題がないか、金具やビスがしっかり留まっているかなど、人の目と手で検査・確認。合格品のみがトーモクヒュースシールを貼られます。出来上がった窓はパネル工場に運ばれ、木質壁パネルに組み込まれます。

スウェーデンハウスの象徴とも言うべき「木製サッシ3層ガラス窓」。住宅の性能を左右する最も重要な部材であるこの窓を常に変わらぬ性能で提供するために、スウェーデンハウスは現地に工場を持ち、自社生産することが大切だと考えました。オートメーション化された技術と、クラフトマンの目と手による丁寧な作業工程により生まれる、美しく、高い性能を持つ窓。創業以来変わらない確かな品質で、快適な生活を支え続けています。

スウェーデンハウスの現地工場見学「木製サッシ3層ガラス窓編」は コチラ をご覧ください。

 

PICK UP! スウェーデンの心の故郷「ダーラナ地方」

豊かな自然とベニガラ色の家が点在する風景はスウェーデンの原風景であり、人々が「心の故郷」として親しむ地域です。ベニガラ色(ファールレッド)と呼ばれるこの独特の赤は、ダーラナ地方のファールン市にあるファールン大銅山(2001年ユネスコ世界遺産に登録。現在は廃鉱)で採れる銅の副産物を塗料としていた歴史に由来します。
また、ダーラナといえば幸福を呼ぶ木彫りの馬「ダーラヘスト」が有名です。
もともとは余った木材で子どもたちのために作られたおもちゃで、お守りにもなっていたのだとか。クラフトマンがナイフ一本で彫り上げるこの馬には「クルビッツ」と呼ばれる伝統的な模様が描かれています。
ダーラナ地方は歴史ある手染め工房「ヨブス」や「レクサンドの夏至祭」などでも知られる土地。伝統文化が現在にも息づき、自然とともに生きるクラフトマンたちが、ものづくりの心と技術を受け継いでいる土地なのです。

スウェーデンの手しごと「私がつくる。My mjuk」は こちら をご覧ください

後編ではトーモクヒュースABの徹底した品質管理や環境保全への取り組み、そして日本との連携がどのように行われているのかをご紹介します。