これからの時代の住まい選びに、大切なことは一体何なのか。今回は「家の実力」という視点から考えます。
掲載号:The SWEDEN HOUSE No.186
2020年春、目に見えない小さなウイルスのために、「いつもと違う」日々が始まった。突然やってきたステイホームという不自由な状況に、誰もが皆戸惑った。
テレワークを始める人、緊張しながら通勤する人、子どもたちはオンライン授業。外食も、遠出も思うようにできない。ONなのか、OFFなのか、家にいても落ち着かない・・・・私自身も「自分のペースで過ごせる時間と空間」が実はとても大切だったのだと、気づかされた経験だったし、その点でものすごく、「家」に助けられた数か月だった。
スティホームになってからほどなく、我が家ではファミリールームの一角にワークスペースを設けた。そもそもあった書斎は、今後もテレワークがメインになるという夫に明け渡し、私が移動をしたという形だ。南向きの、快適この上ない書斎だったが、机に向かっている時間が長いのは夫なのだから、仕方がない。
しかし、窓際に机を置いて仕事をしてみると、なかなかどうして快適だ。北向きの窓からは一日中おだやかな光が入ってくるし、パイン材を多用している空間は、リラックスしながら集中できる。
3層ガラスの窓を閉めれば、外の音も面白いほど聞こえなくなり、オンライン会議も快適に。スウェーデンハウスなのだから、北向きだろうが窓際だろうが、暖かさは他の部屋と変わらない。机と椅子があれば、どこでもオフィス・・・スウェーデンハウスのポテンシャルの高さを再発見、といったところだ。
家を建てた時、営業さんからファミリールームを勧められたことをよく覚えている。小さくてもいいから作りませんか。ファミリールームはスウェーデンハウスの醍醐味ですから、と彼は言った。スウェーデンハウスだからこそ、階段上のオープンスペースでも活用できる。家族の多目的スペースとして寛げる場所になる。スウェーデンの住思想、家族のありようを具現化するのがファミリールームなのだと。その時には正直よくわからなかったし、この十数年間「何かと便利なスペース」くらいにしか思っていなかった。しかしここへ来て、その真意が身に染みている。
スウェーデンの人々は「おうち時間」を快適に過ごすことに長けている。長く続く極寒の冬にはどうしても家での時間が増えるし、何十年も前から男性も女性もテレワークを活用しながら育児をし、家族との時間を大切にしてきた。みんながずっと家にいるそんな・・・状況でも「個」を重んじ、「家族」の絆を深める家の在り方、住まい方を、長い年月をかけて身に付けている。ファミリールームというスペースのことだけではない。静けさ、暖かさ、強さ、木のぬくもり、人に優しいモジュール。スウェーデン住宅には、暮らし方の可能性を広げてくれるたくさんの性能が備わっている。社会の常識が変わっても、ライフステージが変わっても、家が暮らし方の変化を柔軟に受け止める力を持っていれば、住みかえを検討する必要はない。100年住むということは、そういうことだ。
これからは、もっと家での時間が大切になる。だからこそこの家を――スウェーデンハウスが創業時から言い続けていたことが、今、加速度をつけて真実になりつつある。
娘は和室でミシンをかけ、夫は書斎で釣りやらガーデニングやらの下調べに没頭している。それぞれが新しい居場所を見つけて、自分のペースで過ごしている。このような状況下ではあるが、ワクワクすることを見つけられている。家の持つ可能性とはとりもなおさず、家族一人ひとりの、明日を生き抜く可能性だ。明日、何が起きるのかわからない。けれど何が起きたとしても、この家は「次の一手」を打てる家だ。
次の時代も、その次の時代も、この家と一緒に見届けたい。愛する家族と、100年一緒に。
文:上西左知子
コピーライター/スウェーデンハウスオーナー 2006年入居
スウェーデンハウスのモデルハウスには、一つ一つどの家にも、安心して暮らせる心地よさがあります。また築年数を重ねて味わいを深めてゆく、それぞれの美しさがあります。ぜひ実際に見て、感じてください。
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