2025年度から始まった、「子育てグリーン住宅支援事業」をご存じですか?これは、子育て世帯や若者夫婦世帯を中心に、省エネ性能の高い住宅の新築やリフォームを支援する補助金制度です。最大160万円の補助金を受け取ることができるので、これから家を建てる方なら知っておいて損はなし!ただし、補助金額は住宅の性能や世帯の条件によって異なります。この記事では子育てグリーン住宅支援事業の概要や対象となる住宅の性能基準、申請方法などを詳しく解説します。制度を十分に理解して、マイホームを手に入れましょう!
「子育てグリーン住宅支援事業」は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、省エネ性能の高い住宅の普及を促進するための補助金制度です。特に子育て世帯や若者夫婦世帯が、高性能な住宅を取得しやすくすることを目的としています。
受け取れる補助金額は、対象となる住宅の性能や世帯の条件によって異なります。以下の表にまとめましたので、参考にしてくださいね。
子育て世帯と若者夫婦世帯は、それぞれ以下のように対象が異なります。
● 子育て世帯:申請時点で18歳未満の子を有する世帯
● 若者夫婦世帯:申請時点で夫婦のいずれかが39歳以下の世帯
なお、GX志向型住宅、長期優良住宅、ZEH水準住宅はいずれか一つのみが補助対象となり、併用はできません。また、原則としてZEH補助金とも併用できないので注意しましょう。
ただし、例えば東京都の「東京ゼロエミ住宅」など、地域ごとに独自の補助金制度を設けているケースもあります。中には併用できるものもあるので、詳細は各自治体に確認してください。
補助金の対象となる住宅は、それぞれ以下の性能基準を満たす必要があります。
断熱性能等級とは、「どれだけ熱が外に逃げにくい(または中に入りにくい)住宅か」を評価した基準です。等級1~7まであり、等級が高いほど断熱性能が高くなります。つまり、夏に暑くなったり冬に寒くなったりしにくいので、光熱費の削減のほか、ヒートショックなどの健康リスクの低減にも繋がります。
また、一次エネルギーとは、電気やガスなどのエネルギーをつくるために必要な「元のエネルギー」のこと。例えば、石油や天然ガスなどですね。その削減率を、一般的な性能の住宅より高めなくてはいけません。
それでは、どうすれば削減率を高められるのでしょうか…?具体的には、住宅の構造・設備の省エネ性能によって消費エネルギーを減らし、さらに太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用することが挙げられます。
以下の条件に該当する住宅は、原則として子育てグリーン住宅支援事業の補助対象外となります。
● 土砂災害特別警戒区域に立地する住宅
● 災害危険区域(急傾斜地崩壊危険区域または地すべり防止区域と重複する区域)に立地する住宅
● 立地適正化計画区域内の居住誘導区域外かつ災害レッドゾーン内で建設された住宅で、市町村長の勧告に従わなかった旨の公表に係る住宅
● 市街化調整区域かつ土砂災害警戒区域または浸水想定区域に該当する区域に立地する住宅
出典:子育てグリーン住宅支援事業の概要
土砂災害や浸水などのリスクが高い…つまり、安全性が確保されていない場所に建てられた住宅は補助金が出ません。具体的には、土砂災害特別警戒区域や市街化調整区域、災害レッドゾーンなどにある住宅、また市町村の開発勧告に従わなかった住宅などです。家を建てる前に、該当しないかどうか確認しておいてくださいね!
新築だけでなく、既存住宅のリフォームでも補助金を受けることができます。ただし、以下3つの必須工事のうち、2つ以上を実施することが条件です。
➀ 開口部の断熱改修
➁ 躯体の断熱改修
➂ エコ住宅設備の設置
対象となるのは、例えばドアや窓などの開口部の断熱改修や、壁・屋根・天井・床などの断熱改修、エコキュート等のエコ住宅設備の設置など。また、2つ以上の工事を行ったうえで、次に挙げる任意工事を行った場合も補助金の対象です。
● 子育て対応改修
● 防災性向上改修
● バリアフリー改修
● 空気洗浄機能・換気機能付きエアコンの設置
● リフォーム瑕疵保険等への加入
対象となる工事あたりの補助上限額は、必須工事①~③の全カテゴリを実施すると60万円/戸、2つを実施すると40万円/戸になります。なかなか大きな金額ですよね。
リフォームする場合は、工事内容と合わせて補助対象になるか事業者にしっかり確認し、見積書に補助対象工事が明記されていることが大切です。制度を賢く活用すれば、リフォーム費用の負担を大きく軽減できますよ。
子育てグリーン住宅支援事業の補助金は、工事を請け負った住宅会社や工務店などの事業者が代理で申請します。また、補助金は施主本人に直接支払われず、申請した事業者に交付されるので注意しましょう。
そうなると、自分が補助金を受け取れる制度じゃないのか…とガッカリするかもしれません。でも、安心してください!多くの場合、補助金は施工費用の一部に充てられるかたちで反映されます。現金で返金されなくても、ちゃんと工事費の削減になるわけですね。
ただし、事業者によって補助金の運用方法は異なります。行き違いがないよう、補助金の取り扱いは事前にちゃんと確認しておきましょう!
2025年度から新たに創設された、子育てグリーン住宅支援事業について解説しました。対象となる住宅を建てると補助金を受けられ、さらに光熱費の削減といったメリットも得られます。一般的な住宅より建築費が高い傾向にありますが、長期的に見ると出費を抑えられそうですね!
また、補助金対象の住宅はフラット35の金利優遇を受けることもでき、その他の補助金や住宅ローン控除とも併用できます。これからマイホームを建てるなら、子育てグリーン住宅支援事業の活用も検討してみてください。
[筆者プロフィール]
CFP/1級ファイナンシャル・プランニング技能士。経営者を中心に、財務戦略や資産形成のサポートを行う独立系FP。住宅購入相談も得意とし、自らもマイホーム購入を経験。自身が学んだ建築や家づくりの知識を活かしながら顧客にローンや補助金、住宅性能等についてもアドバイスしている。複数の工務店とのネットワークも築き、住宅購入に関わる資金計画・税金対策・ローン設計から、購入後の資産形成まで一貫したアドバイスを行い、住まいとお金、両方の視点から“後悔しない選択”を支援している。FPオフィスclientsbenefit代表FP。