「結露」と聞いて、冬の窓ガラスをイメージする人は多いのではないでしょうか。子どもの頃、曇った窓ガラスに指で絵を描いたり、水滴が流れ落ちる様子を眺めた人もいるかもしれません。そんな住まいの結露、冬だけのものではないことをご存知でしょうか?実は夏にも発生し、住まいを傷めたり、カビ・ダニの発生要因となって私たちの健康に悪影響を及ぼすことがあるのです。そこで今回は「結露」に注目。後悔のない家づくりの参考にしていただければと思います。
結露とは、温度差によって空気中の水分が気体(水蒸気)から液体(水滴)へと変化する現象です。アイスコーヒーのグラスの外側につく水滴なども「結露」です。
空気はその性質上、温度が高いほど水蒸気を多く含むことができ、温度が低いとわずかな水蒸気しか含むことができません。そのため、暖かい空気が急激に冷やされると、余分な水蒸気が空気中に留まることができず、結露となって現れるのです。
冬に窓ガラスの内側が結露する現象で説明すると…
① 室内の暖かい空気が、
② 外気で冷やされたサッシや窓ガラスに触れて温度が下がる
③ 空気中の水蒸気が飽和量を超えてしまい、結露が発生
特に冬は加湿器の使用や洗濯物の室内干しなどで室内の湿度が高くなりやすく、外との温度差も大きいため、あっという間に窓が水浸しになってしまうのです。
結露には、見える場所に発生する「冬型結露」と見えない場所に発生する「夏型結露」があります。
「冬型結露」が発生しやすいのは窓など室内の表面部分。例えば窓の場合は、冷たい外気に冷やされたガラス面に室内の暖かく湿った空気が触れることで温度が下がり、水蒸気が水滴となってガラスの内側に現れます。このように、目に見える所で発生するため「表面結露」と呼ばれます。
「夏型結露」が発生しやすい場所は、建物の完成後は隠れてしまう壁の中や床下、屋根裏などです。目で確認できないので「内部結露」・「壁体内結露(へきたいないけつろ)」とも言われます。主に夏場、高温多湿の外気に含まれる水蒸気が外壁から構造躯体に侵入し、冷房で冷やされた壁面や床、屋根に触れることで発生します。特に梅雨時や、夏の強烈な日差しが外壁面などに当たると発生しやすく、近年の猛暑によってリスクが高まっています。
建物の見えない場所で結露が発生している…雑巾で拭くこともできない「夏型結露」。対処ができない分、厄介なものだと言えます。
発生した結露を拭き取らずに放置しておくのは非常に危険。重要なのはすぐに乾燥させることです。目に見える結露だけでも、気づいたらしっかり拭き取ってください。濡れた状態が続くとさまざまな被害が生じるので注意が必要です。
特に大きな問題は、結露がカビの発生源になることです。カビは温度25℃前後、湿度70%を超えると発生しやすくなるため、窓の結露を放置していると、窓のゴムパッキンやサッシにカビが発生し、カーテンや床・壁などにも広がっていきます。カビは見た目に悪く、臭いも気になります。そして何より、カビをきっかけに深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。
「結露する窓には、浴室の排水溝と同じくらいのカビがいる」という研究データもあります。カビはアレルギーやぜんそくの原因になり、時には呼吸器疾患などの重篤な病気を引き起こします。また、カビを栄養源にして繁殖するダニの糞や卵、死骸なども、アレルギー原因の最たるものと言われています。繰り返し結露が発生する家は、カビ・ダニ発生のリスクが高いと考えられます。健康的に暮らすために、カビの発生源となる結露を防ぐことはとても大切なのです。
結露によって建物が濡れたり湿ったりしたままになると、カビだけでなくシロアリや木材腐朽菌が発生する可能性もあります。これらは木材を劣化させ建物の耐久性や耐震性を損なわせてしまう住まいの大敵。特に夏型結露によって壁の中や床下などの構造部分に水分が染み込んでしまうと、気づかぬうちに大きな被害につながることも。長く安心して暮らすためには、結露を発生させないことが重要なのです。
一般的に結露によって、カビが発生したりシロアリの被害にあっても、それが設計・施工の明らかな不備であると証明されない限り、多くの住宅保証では「瑕疵」と認められにくいのが現実で、保証の対象外とされることが少なくありません。たとえ壁の中で結露が発生して何らかの被害が出ても、浴室に発生するカビと同じように、住まい方の問題と捉えられてしまうこともあるのです。これから家づくりをされる皆さんは、住み始めてから後悔しないよう、結露トラブルのない住まいを建てる必要があります。
前述の通り、結露は「暖かい空気が冷たいものに触れたり、急に冷やされたりしたときに発生」し、「水滴が乾燥されずに放置されたときに問題になりやすい」もの。つまり住まいの中で結露の問題が起きやすいのは「温度差の大きい場所」、そして結露が発生してもすぐに乾燥しない「湿度が高く、空気が滞留する場所」になります。逆に言えば「温度差が少なく」「湿気の侵入する隙間が小さく」「しっかり換気・通気ができる」家であれば、結露のない暮らしが叶うということです。
結露を防いで人と住まいの健康を守るためには、「高気密」「高断熱」「換気・通気」が備わった住まいであることが大切です。
PICK UP! 建ててしまってからの「結露被害」をどう防ぐ?結露がひどいからといって、簡単に家を建て替えるわけにはいきません。少しでも結露が引き起こす被害を減らすために、できることはないのでしょうか?「冬型結露」の場合は、結露の発生に気づいたときにこまめに拭き取り、乾燥を保つよう心掛けることができます。しかし「夏型結露」は目に見えないところで発生するので、自分で確認することも、拭き取ることもできません。定期的な建物点検を行い、床下や屋根裏の通気やカビの状況を確認することが大切です。 |
スウェーデンハウスは、優れた「気密性能」「断熱性能」「換気・通気」をバランスよく組合せた高性能住宅。どの季節にも家全体の温度をほぼ一定に保つことができ、結露のきっかけをつくりません。さらに「24時間熱交換型換気システム」を全棟に標準採用して、快適な室温をキープしながらきれいな空気を家中に循環させます。ですから、一般的に日当たりが悪く湿気が溜まりやすい北側のクローゼットなどがジメジメする、などという状況には陥りにくく、家中を常にカラッと爽やかな状態に保つことができます。
また、建物の完成後は見えなくなってしまう床下や壁、屋根裏などの構造部分も、「通気工法」の採用により常に乾燥した状態を保ちます。
後編では、その仕組みについて詳しく見ていきましょう。